2007年12月28日
トリーター:伊藤

冷暖の海コーナー 3つの新展示

クリスマスも終わり、あとはお正月を迎えるばかりですね。今頃、子供たちはプレゼントのおもちゃで遊びまくっている頃でしょうか。
ちなみにクリスマスの日・・・ 私は寒空の中、長靴で川の中を延々と歩いたり、ヤブの中で放し飼いのドーベルマンににじり寄られたり(野犬でなくて本当に良かったです!)して、ちょっとした恐怖を味わっていました・・・ 。

さて、月初めに暖かい海コーナーの新展示「木登りするカニ」の話をしましたが、それに続くようにしてさらに 3つの水槽が新しくなりましたので紹介します。

その 1「地面を掘るハタ」
「ハタ」というと、大きな体で、水槽内をゆうゆうと泳ぐ、もしくはどっしりと底にかまえているイメージがありますが、今回展示する「ハタ」は、ちょこまかと泳ぎながら砂を掘る、その名も「ツチホゼリ(土堀)」です。
ツチホゼリの展示自体は珍しくなく、水族館を 2~ 3館周れば見ることができますが、この「掘る」ところを展示しようとする試みはほとんどありませんでした。
当館のツチホゼリはまだ臆病で物陰に隠れていることが多いのですが、大量に敷き詰めた砂のアチコチを掘り返してでこぼこにしています。今後に期待が持てます。

その 2「クマノミの生存戦略」
「クマノミ」が毒のあるイソギンチャクと共生するようすは広く知られており、当館を初め多くの水族館で展示していると思います。
今回はこの「いざとなったらイソギンチャクへ隠れる」生態をより強く押し出すべく、あえてクマノミに緊張感を与えています。
巨大な「ニセゴイシウツボ」を一緒に展示することでクマノミたちの行動にメリハリが出てくれれば、と考えてます(現在経過観察中です)。

その 3「北海の幸、食用ガニ」
冷たい海の幸として真っ先に思い浮かぶのは「カニ」でしょう。当館では世界一大きな「タカアシガニ」の展示がありますが、意外と他の「美味しいカニ」の展示がなかったため、カニが主役の展示を作りました。
展示のカニたちの多くは相模湾のカニ漁師さんにお願いして、分けてもらいました。
自然さながらに砂をかぶったり、カニカゴによじ登るカニたちの生態をご覧いただきたいと思います。

これらの水槽はいずれも生物の持つ面白い行動を引き出すべく、試行錯誤が加えられ、担当者たちの個性が滲み出ています。
これからも生物の状態を見つつ、その魅力を引き出せるよう努力したいと思います。

土を掘るから「ツチホゼリ」土を掘るから「ツチホゼリ」クマノミ水槽の親分「ニセゴイシウツボ」クマノミ水槽の親分「ニセゴイシウツボ」相模湾にもいる強面「エゾイバラガニ」 相模湾にもいる強面「エゾイバラガニ」

太平洋

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