2009年03月08日
トリーター:倉形

「トキ」とともに野生復帰!


いま何かとニュースなどで話題になっている「トキ 」。
3月初め現在、佐渡トキ保護センターで飼育されているトキは『 110羽』。野生に試験放鳥されているトキ『 9羽』。
このうち佐渡島内に 6羽、本州(新潟・長野県内周辺)に 2羽、そして不明が 1羽だそうです。

この野生復帰を目指して放たれた「トキ」ですが、最近ではそのトキに共生する小さな生物も野生復帰に向け密かに注目を集めています。
その生物は、ダニの仲間『トキウモウダニ』です。トキを固有の宿主とし、体長は 0.4mm、体色は茶褐色です。
このダニはトキの尾の付け根にある尾脂腺から分泌される脂や羽根のごみを食べてくれる言わば、トキの体の「掃除屋」であります。

トキは 20世紀初めには、中国、ロシア、台湾、朝鮮半島、日本などの東アジア一帯に分布していて決して珍重されるような鳥ではなかったそうです。
日本では乱獲や生息環境の悪化で、昭和 56年のトキ一斉捕獲に伴って「トキウモウダニ」も野生から姿を消し、環境省から絶滅危惧種の指定を受けています。
ちなみに 21世紀なった現在、野生に生息するトキは中国の陝西省付近でのみ確認されているそうです。

一端は人間によって絶滅し、今度は人間の手によって野生に返ろうとしています。
どうしても『トキ』自身に注目されがちですが、トキによって生かされている『トキウモウダニ』などの生態系にも今後大きな変化をもたらすことが考えられると思います。
そして折角放鳥された「トキ」。いつかまた、空を「朱鷺色」に染まるぐらいの群れで飛ぶ「トキ」が普通に見られるよう、その生息環境確保や共生生物がともに生きて行ける環境づくりとみんなで温かく見守るということが大切ではないでしょうか。

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