2011年05月21日
トリーター:唐亀

今週のオススメ追加ぜうす


きのうのオススメの後、バックヤードでトリートメントしていた可愛い魚が展示水槽にでていましたので、追加でお知らせいたします。
今回はマトウダイいかがでしょう。
 
マトウダイは水深 100m程度のやや深い海にすんでいて、しばしば定置網にかかります。定置網のマトウダイは急激に浅いところに上がって来るので、浮き袋が膨らんで浮いてしまっているため、なかなか生かすことが難しい魚です。今回のマトウダイはシラス網にかかったもので、比較的状態が良かったためにバックヤードで養生して、餌を食べるようになったためにお披露目とあいなりました。
 
体が著しく薄く、獲物に正面からそっと近づくと獲物は気付きにくくなります。そして、大きな長く付き出すことができる口で獲物のエビや魚を丸飲みにしてしまいます。しかも、推進力がカワハギと同様に背びれと尻びれを波打たせて泳ぐホバータイプなので、獲物となる生き物が気付いた時には吸い込まれているという寸法です。

標準和名のマトウダイは、体側に黒い斑を矢の「的」に見立ててつけられた名前です。しかし、この魚、聖書に出てくる魚で、フランス語やスペイン語では十二使徒の一人、ペドロに因んだ名前で呼ばれています。体側の黒斑も、ペドロがこの魚の口から金貨を取り出す際に手で持った跡とされています。聖書に因みながら、学名にはギリシャ神話のゼウスを冠しているのも興味深いところです。

今回展示している個体は、体長 5㎝ほどの幼魚で、きょとんとした顔がたいへんかわいらしいです。キッズ水槽におとなしいアメフラシの仲間、タツナミガイといっしょに入っています。今朝見たところ、ちょっとおどおどしてしているようですので、水槽を叩いたりしておどかしたりしないように、やさしく観察してあげてくださいね。

マトウダイマトウダイ

相模湾ゾーン

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