2012年02月05日
トリーター:根本

深海担当の深海メジャー化計画 下関編


一年に一度、全国の水族館の職員が集まって、研究成果を発表する会議があります。
その名も「水族館技術者研究会 全国大会」。
日ごろ頑張って研究している成果を全国の各水族館の代表者を前にアピールする場であり、情報共有の場でもあります。
また、各園館がどんなことに力を入れているのか、どれくらい力を入れているのかがとってもよくわかる会議でもあり、同時に自分の所属する水族館の実力を客観的に見つめることができる場でもあります。
気を引き締めるには非常に良い場です。
発表は動物園水族館協会に加盟している 66施設の水族館全てがするわけではなく、「参加・不参加」、「発表する・しない」は自由です。
今年は 18園館で 25題の発表がありました。

さあ、せっかく全国の水族館関係者が集まっているわけですからねー、深海担当としてはこの場で“えのすい”の深海生物の飼育研究をドカーン!とアピールしたいところです。
いや!しなくてはならないのであります!
展示や研究が他館から認められればそれは本物であり、また国内に 66もある水族館の中で独自性を発揮できているという証拠でもあります。

ということで!
“えのすい”の“深海”をも~っとメジャーにすべく、担当である私は、この会議に毎年出ています。
各館の注目を一心に集める事が目標です。
深海の発表をするのは今回で 3回目。
1回目は「化学合成生態系水槽」。
2回目は「サツマハオリムシ」、そして今回は「ゴエモンコシオリエビの飼育方法について」の発表です。
実はマダマダ飼育研究の課題が多いこのゴエモンコシオリエビですが、これまで試行錯誤してきた研究成果を発表してきました。
ゴエモンは胸毛にバクテリアを育てて食べる超奇抜な深海生物。このバクテリアの育成には硫化水素が必要なのですが、この濃度をどれくらいにするのかが難しいところ。
薄すぎるとバクテリアがわかないし、濃すぎるとゴエモンが中毒を起こしてしまいます。
しかも水中での濃度変化が激しくて、全く安定しないというイヤ~な特徴もあります。
その濃度設定と制御方法の開発が今回の発表の内容となっています。
近々その成果を展示でご紹介したいと思いますので興味のある方はお楽しみに!

面白い発表ができるように、今回も発表ギリギリまで実験して夜な夜な発表スライドを作って頑張ったのですが・・・、注目を集めるのはヤッパリ難しいですねぇ。
まだ他館では一般的ではない深海の化学合成生態系の生物の飼育なので、興味を引く事ができないのかもしれません。
発表の仕方で何とかなるとは思っているのですが・・・、もう少し工夫が必要のようですなぁ。
まあ、修行あるのみです!来年はがんばろう!

ちなみに今年の開催地は山口県下関市。
開催館は下関市立しものせき水族館「海響館」!フグとペンギンの展示が注目の素晴らしい水族館です。
会議終了後の施設見学で、私は初めて海響館を訪れたのですが、ペンギン水槽はすごいですね!
当館の相模湾大水槽並みの大型水槽で、ペンギンがギュン!ギュン!泳いでいる姿は大迫力!も~これにはびっくりです!
三次元を縦横無尽にすごいスピードで泳ぐペンギンは、抜群にかっこいいですね!こんな水槽を考えて実際に作っちゃうなんて、すごいです!
下関に行かれた際には必見ですよ。

今回もいろいろと見て聞いてかなり刺激的な会議でした。
良いものを見聞きすると自然と活力が湧いてきます!
ドンドン深海コーナーも改良していきたいと思います!

ゴエモンコシオリエビ (C)JAMSTECゴエモンコシオリエビ (C)JAMSTEC


新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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