2012年08月29日
トリーター:植田

先日よその水族館を拝見したら


先日、機会があって関東エリアの別の水族館へ出かけました。
用向きは来年予定している水族館関係のシンポジウムのテーマや講演予定者などを相談する会議のためでした。会議まで時間があったので、館内を見学させていただきました。
その中で、最近当館でも内容を一新したタッチプールのようすが気になって覗かせていただきました。
以前よりその水族館では、タッチプールの生きものに対する扱いにかなり苦心されており、多くのお客さまに楽しく触って生きものへの知識を深めてもらうことと併せて、生きものの触られることによるダメージをより減らす工夫にも努力されているようです。
一例を紹介すると、自然の岩磯を模して擬岩で割れ目を造り、そこに磯のカニやカサガイを居付かせ、お客さまはその隙間に指を入れて触れるようにさわってみることで、タッチ体験をする仕組みになっています。
このような状況は、我々も野外採集で経験することがありますが、手が届きそうで完全には掴むことができません。
岩磯での実体験に基づいた仕様となっていると感じました。
生きものも擬岩の隙間が隠れ場所となって、そうむやみには捕まえられないので、弱ったり、傷ついたりすることもほとんどないようです。

当館に新設されたタッチプールのコーナーでは、片手が入って生きものに触れることができても、生きものをたやすく持ちあげることがしにくい形状の透明なケースを考案して、マダコ、マナマコ、イトマキヒトデなどを触っていただくように計画しました。
今のところ生きものへのダメージも少なく、また従来のタッチプールに増していろいろな種類の生きものたちとのタッチをお客さまに体験していただいています。
また、以前にも増して触る時のルールについても、お客さまに丁寧に説明するようにタッチコーナーの担当になった係員は心がけています。
先日見学させていただいた水族館でもそうでしたが、体験した人が興味を持ちつつ、触ることで生きものの理解が深められ、しかも生きものにとっても負担の少ないタッチプールの工夫が、これからももっともっと必要だと感じています。

タッチプールタッチプール

タッチプール

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