2012年09月03日
トリーター:根本

深海生物の魅力の伝え方


夏も終わり、水族館も少し落ち着いてきました。この夏の深海のお祭りも一段落です。

深海生物の面白さというのは、なかなか伝わらない物です。
The深海魚!というような奇抜でグロテスクないかにも深海魚!みたいな生物ならともかく、地味な色や形をしたものや、ほとんど動かない生き物はパッと見ただけではその魅力は伝わりません、いや、伝えられている気がしません・・・。「知れば面白いことがたくさんあるのに!!もったいない!」と、思いつつもその面白さを面白く伝える手段がなかなか見つからず試行錯誤の毎日を過ごしています。
 解説文に書きたくとも、読んでもらえる文字数なんて 100文字ソコソコでしょうから多くは書けません。デジタルフォトフレームを使って写真や動画を使う展示も試していますが、動画を作っても見てもらえる時間は 1分程度。写真のスライドなどもそうたくさん見てもらえる物ではないですね。
 「この伝えたい気持ちを伝える術はないのだろうか!??」といろいろ模索した結果、行き着いた結果は

「もう、口でしゃべるしかない!」

そこでこの夏チャレンジしたのが「深海の深~いお話」。夏休み期間中の平日毎日 15~ 20分程度開催されていました。趣旨としては深海に興味がある人も無い人にも「深海って、やっぱり面白いね!」と思わせる話しをするものです。加圧実験をする事以外ほとんど何も台本が無いお話。喋る人のスキル任せのプチショーでした。その加圧水槽も後半故障し使えなくなるハプニングもあり、最後はパソコンとモニターのみで、これまで蓄積した経験だけを武器にお客さんの前に立っていました。
 毎回お客さんの反応に一喜一憂して試行錯誤を繰り返す日々は中々刺激的でした。イマイチの日は今すぐ家に帰りたくなったりもしました。いろいろと良い勉強になりました。

この日誌を読まれている方にこのお話を見てくれた方はいらっしゃるでしょうか? どうだったでしょう? 楽しんでいただけていたのでしょうか? もし好評でしたらいつかまた復活させてみたいと思います。
水族館の飼育員はエンターテイナーで無ければならないと思っています。可能な限りお客さんと直接やり取りのできる機会を作って行きたいと思っています。とりあえず多少自由の効く深海で頑張って行きます。

深海の深~いお話深海の深~いお話

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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