2012年10月05日
トリーター:寺沢

台風のいぬ間のアザラシ会議

日本列島を縦断した台風 17号が、北海道の南東の海上へと進み、温帯低気圧へと変わった 2日後の 10月 3日、江の島では小雨降る寒空の下、とある会議を開催していた。

この会議、日程だけは半年前の春先になぜか決めており、運の強さに胸を撫で下ろす。

当館の職員でさえも、アザラシ会議ってなに?、と聞き返す一方で、どこでどう情報を仕入れたのか、ぜひ参加したいのですが?、と問い合わせてきた一般の方も。

日本動物園水族館協会傘下で、正式名称をゴマフアザラシ会議といい、今回が第 1回目。
目的は、水族館や動物園でこの種の頭数を維持し、繁殖させるためには、どうすればいいのか、といったもの。

例えば、他の水族館が太平をお婿さんとして一時お借りしたいのですが、とか、ロスのお嫁さんを探しているのですが、どこかありませんか、といったら分かり易いかも。

そもそも、水族館や動物園のゴマフアザラシは、野生で傷つき、衰弱した個体を保護して、彼らが子どもを残して、今がある。

幸か不幸か、保護されるアザラシの頭数は減少する傾向にあるため、飼育下繁殖は我々に課せられた、当然の仕事である。

年々、飼育技術の向上に伴い、全国的にアザラシの高齢化が見られる。
今や、30歳を超えることはしばしばあり、さらには 40歳のゴマフアザラシ誕生の予感も。

台風 19号、20号の動きをしり目に、全国に舞い戻って行った多くの参加者に、今回の会議は有意義だったね、といわれることは悪い気はしないが、これを機会にゴマフアザラシの繁殖数が増えれば、それでいい。

ゴマフアザラシゴマフアザラシ

ペンギン・アザラシ

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