2012年10月11日
トリーター:伊藤

胃袋の中身からわかること


水族館ではまだまだ飼育が成功していない生物があります。
その一つがバラムツ。
大きな目とするどい歯、体中にあるトゲトゲの鱗、大きなものでは 2m近くなるその迫力と、魅力あふれる種です。
肉に脂分が多く、食べるとお腹を壊すので、食用販売が禁止されていますが、近年ではルアーなどを用いたスポーツフィッシングの対象にもなっています。

さて、ご存知の方もおられるかも知れませんが、おととし、昨年と、小田原の定置網で漁獲された個体を持ち帰り、試しに展示したことがあります。
その結果はまことに残念なもので、餌を食べるところまで行きませんでした。
この結果を受けて、まず「何を食べているのか」調べてみることにしました。
漁獲されたばかりのバラムツの標本を入手して、おなかを開き、胃袋の中身を見てみることにしたのです。
カタクチイワシやイカがたくさん出てきたり、大きなソウダガツオを丸呑みしていたりと、個体によってさまざまでした。
その多くは消化が進んでおり、正確に種類が割り出せないものも多かったのですが、おおまかな「好き嫌い」は想像できました。
手をドロドロにして調べたかいがあります。

バラムツは深海と表層を行き来する魚なので、もしかしたら、深海でチョウチンアンコウでも食べていないかな?と期待しましたが、今のところそうした「レアもの」は見つかっていません。
まだ、調査が終わっていませんが、ある程度まとまったところで、漁師さんをはじめとしたみなさんに成果をお伝えできればと思っております。
そしていつの日か、バラムツがきちんと飼育できるようになればと思っています。

展示したときのバラムツ展示したときのバラムツ目刺をたくさん食べていた。目刺をたくさん食べていた。すっかり消化され、骨だけの時も。すっかり消化され、骨だけの時も。イカの場合、顎板だけが残る。イカの場合、顎板だけが残る。

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