2012年12月19日
トリーター:伊藤

たくましく成長、少々異なる見た目のハタタテ


先日の閉館日の折、暖かい海ゾーンのチョウチョウウオ水槽の壁の塗り直しをしました。ペンキ屋さんの作業が終わり、一時避難させていた魚を戻す時のこと。

「あっ!この魚、また戻したんか~?」と先輩。「えっ!戻してしまいました!」と私。

魚の種類はハタタテダイ。白黒のコントラストと、すらりと伸びた背びれが優雅なチョウチョウウオで、水槽内で最も数が多く、展示の主役ともいえる魚です。

その中に、ハタ(背びれの周辺)が見られないものが 1匹います。
この個体は、1年以上前に江の島の漁師さんから、他の魚と一緒に譲っていただいたものです。
人の親指ほどの大きさで、正直、うまく育つのか不安でした。その心配をよそに、他の魚に負けずモリモリと餌を食べ、何度か水槽内に発生した白点病も乗り越え、立派に育ちました。

成魚となった現在も、背びれの周辺が欠けているのは変わりません。幼魚時代に誰かにかじられたのか、生まれつきなのかは分かりません。他の仲間たちとは少々異なる見た目ですが、そのたくましい生きざまは見事です。
朝の水槽点検で見かけるたびに、トリーター同士の話題の種となり、私をはじめ、この魚の元気な姿に励まされています。その姿から、水槽内を見れば、どの魚かすぐに分かります。暖かい海ゾーンで、ぜひ探してみてください。

なお、ハタタテダイは、チョウチョウウオの中でも特に丈夫で、寒さにも強く、飼育しやすい種類です。
変わったところでは、エイの体表(粘膜)が大好物というグルメ?で、昔、大水槽に入れたら巨大ホシエイをつつき回して大変でした。私と先輩の二人で潜水し、やっとこ捕獲し、バックヤードに戻したものです。
何かと思い出がある魚です。

ハタタテダイハタタテダイ

太平洋

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