2013年02月25日
トリーター:櫻井

交尾前ガード


先日バックヤードの予備槽室で給餌をしていると、面白い光景が飛び込んできました。
カラッパというカニをご存知でしょうか。
ずんぐりむっくりで、非常に愛嬌のある形をしたカニです。
手を顔の前で覆うような、大きなハサミが特徴的です。
普段はそのように、大きなハサミを顔の前に納めており、おにぎりのようにずんぐり、じっとしています。
しかしその時は、そんな見慣れた姿からかけ離れていたので思わず二度見してしまいました。

二個の硬いおにぎりがコチーンとくっつき、後ろのおにぎりのハサミがシャキーン!と伸びているではありませんか。
やや!これが噂の『交尾前ガード』!
見た目はまるでぎこちない合体ロボです。
ヤドカリなんかでも見られる行動で、ヤドカリの場合、雄がハサミでメスの殻をつまみます。こちらも面白い光景です。

この交尾前行動、交尾の前に雄が雌を守っているだとか、他の雄にとられないようにしているだとかいわれています。
甲殻類では、雌が脱皮直後にしか交尾できない種が多く、雄が脱皮の近い雌をガードしているのです。
早い話交尾の予約でしょうか。
雌からしたら、食事や行動の制限ができてしまい迷惑な話かも知れません ・・・。
人間でいえば、四六時中束縛しているような感じなのでしょうか。
雌はそれが守られているようで嬉しいのでしょうか。
うっとうしく思っているのでしょうか。
カラッパにしかわかりません。

ちなみに翌日、雌の脱皮も見られず二個のおにぎりは合体ロボでは無くなっていたものの、雌と少し離れた所で雄のハサミはぎこちなくシャキーンとなっていました。
振られても交尾前ガードの意志を曲げないとは、まったく熱い奴 ・・・
いやうっとうし ・・・。
その姿がなんだかかわいくて ・・・。
でも人間だったらちょっと ・・・ね。

広い自然界では、一度チャンスを逃すとなかなか次に雌雄が出会えなかったりする為、このような行動を取るといわれています。
厳しい世界に生きる生物のたくましさを垣間見ました。
その行動を決して人間と比較してはなりません。
でもやっぱり人間だったらちょっと ・・・ね。

画像はメガネカラッパの交尾前ガードです。
雌の表情はいかがですか?

カラッパカラッパカラッパカラッパ

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