2013年04月12日
トリーター:石川

フンボルトペンギンの餌 3


今回で 3部作の最終話です。

野生での餌
ここまでフンボルトペンギンの餌のことを話していて、そもそも野生ではどうなんだろうか?という疑問が当然のことながらでてきます。
フンボルトペンギンは魚食性が強いということは聞いているのですが、その生態は実はまだよくわかっていません。
他のペンギンだと胃内容物の調査などをされている種類も多くあるのですが、フンボルトペンギンではあまり聞いたことがありませんでした。

ペンギンが獲る餌のなかで、飼育下でもっとも与えられていないと思われるのがイカです。
キングペンギンやイワトビペンギンでは、他園館でイカを与えているところはあるようです。
南極やその周辺に生息するペンギンたちは、かなりな量のイカを食べているらしいのです。
時期によっては、食べているものの半分以上がイカという種類も少なくないようです。
仮に200万羽のキングペンギンがお腹を満たすことのできるイカの量は、とてつもない量だと思えます。
以前、深海チームのトリーターに、潜水艇で潜航中にイカの群れというのは見たことがないという話を聞いたことがあります。
少し前に見たダイオウイカの番組でも、潜水艇の音が出たとたんに離れていったというようなくだりがあったと記憶しています。
イカは音にとても敏感なようです。私たちの想像を超える量のイカの群れが海で騒然と泳いでいるのでしょう。

1月にチリのフンボルトペンギンを調査した方のお話しを聞くことができたのですが、その腹の中には 1匹もイカが入っていなかったということでした。
ほとんどがペルーカタクチイワシ(アンチョビー)とマイワシの仲間だというのです。
時期によってということはあると思いますが、フンボルトペンギンは魚食性という見解は、今のところ間違っていないようですが・・・きっとイカの群れを見つければ見過ごすことはないと思っています。

先日たまたま体長 2~ 3cmの鮮ヒイカが手に入りました!!
さっそく与えてみました。
イカを見せると初めてなはずなのに、多くの個体が集まってきました。
8羽のペンギンに与えたのですが、翌朝 1杯分の残骸があった他は、おいしく食べたようでした。
結構食べっぷりも良かったんですよ!
つるっ、つるって感じでした。

野生のペンギンたちはエビ、カニの仲間も食べている種類がいます。今度機会があったら、そんな種類の餌も与えてみたいと思います。
ペンギンたちが食べているようすはそれだけでもとても面白いです。朝・夕の給餌やショー中に機会があったら、じっくり観察してみてください。新たな疑問や発見もみつかるかもしれません。

バックナンバー
2013/02/20 フンボルトペンギンの餌 1
2013/03/22 フンボルトペンギンの餌 2

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