2013年04月26日
トリーター:岩崎

シマガツオを追え!


シマガツオを求めて早朝の海へ。
深い海に生息しているシマガツオはこの季節産卵のためやや浅い水深にやって来る。
今しかチャンスはない!
江の島片瀬漁港の島吉丸さんにご協力いただき、特別にチャーターした釣船で相模湾江の島沖に向かった。

うねりの残る海を越え目指すポイントへ到着。
「とりあえず 200、180、160、140に落とせ!」
魚体の幅が薄いシマガツオは魚群探知機に映らない。
船長さんの指示に従ってシマガツオがいそうな棚(水深)に仕掛けを落とし魚信を探る。
群れで回遊しているシマガツオは棚が合えば次々に釣れる。
餌はサバの切り身だ。

「 180で来たぞ!」
最初にヒットさせたのは大ベテランの神応さん。
さすがに勝負強い。

水深が深いので急に巻き上げると魚にダメージが残る。
ただ釣り上げるだけでは意味がない。
生かしてシマガツオを水槽に泳がせること!
それが最大のミッションだ。

水深 180mに合わせると次々とヒット。
採集隊長の今井さん、櫻井さん、そしてついに私の竿にも・・・。

電動リールのスピードを調整してゆっくり慎重に巻き上げる。
残り 5m。
ここからは手動でシマガツオと勝負!
竿が三日月のようにしなりぐいぐいと糸が引き込まれる。
「暴れん坊」の噂に違わぬファイトだ。
体長は 50cmほど、大きな目と背側に鮮やかな紫色が入った銀色の魚体が見えてきた。

体に触れると魚体が傷んでしまう。
絶対手で触れないように針外しを使って船のいけすに取り込む。
釣り上げた魚には酸欠が最大の敵だ。
普通のエアポンプではとても大型魚の酸素消費に追いつけない。
酸素ボンベからいけすに直接酸素を送り込む。

次々とヒットするシマガツオ。
3本の仕掛け針に 3匹かかっていることも。
大きな丸い頭、姿形はまるで海のピラニアだ。
こんな魚がたくさん泳いでいるなんて。
海は広い。
そして海は大きい。

プラスチック製のような透明で大きな胸びれを動かし、いけすの中を泳ぐシマガツオ。
早々と目標の尾数に到達。
後は港に戻り水槽に運び入れるだけだ。

予想より天候が良く、港に駐車していたトラックに積み置きしていた輸送タンク内の水温が上がっていたのが誤算だ。
急遽片瀬漁港の冷海水をいただいてタンクの水温を下げる。
「うーんまだだな」
船から水槽に収容するまでのスピードもミッション成功のための勝負所だ。
しかし焦ってはいけない。
水温が急に変わると魚がショックを起こしてしまう。
「早く下がってくれ!」
みんな祈るような気持ちだ。

なんとか船のいけすとトラックのタンクの水温が同じくらいになった。
肌が弱い魚専用の輸送シートを使って船からトラックのタンクへ収容。
急いで水族館に戻り、タンクから輸送シートで水槽に搬入する。
普段は小集団でバラバラに行動することが多い魚類チームだが、このような時の動きは驚くほど早い。
全てのシマガツオを素早く水槽に収容することができた。

“えのすい”初展示のシマガツオ。
地元片瀬江ノ島のみなさんの協力で実現できました。
短い期間の展示になるかも知れませんがぜひ見に来てください。

※水槽での展示は終了しました。

えのすい初公開!相模湾にすむ深海魚「シマガツオ」
シマガツオ - YouTube

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