2013年05月07日
トリーター:櫻井

餌にも餌を


展示している飼育下の生物は、食べる餌が自然界と若干異なってきたりします。
いや、全く違ったりもします。
飼育水の水質悪化防止や展示生物の栄養面を考慮したりという事で、飼育下に相応しい餌になっています。
しかし生物の食性上、どうしても自然界と同様の餌でないと食べない、あるいは状態が悪くなってしまうという場合もあります。
その餌が入手できれば良いのですが、入手困難となると、それに伴い飼育が困難という事になるわけです。
当然コスト的な問題も生じてきます。

タツノオトシゴの仲間などは生きている餌を好み、イサザアミなどを与えていますが、稀に冷凍物の動物プランクトンに餌付く個体もいます。
活餌を取り寄せる手間とコストを考えれば、気まぐれに冷凍物に餌付いてくれた個体は重宝されます。
ふ化したての稚魚は生きた動物プランクトンなどを食べ、摂餌頻度も高いです。
コンスタントに、その種に合った適度な飽食状態に保つよう摂餌させるには、その動物プランクトンを培養するのがベストです。

稚魚が食べる動物プランクトン。この動物プランクトンを培養するとなると、動物プランクトン用の餌が必要となってきます。
主に植物プランクトンを与えていますが、動物プランクトンを栄養価の高いものにする為に、動物プランクトンを栄養強化する事もあります。
動物プランクトンの体表にくっつけさせたり動物プランクトンに栄養価の高いものを食べさせたり・・・。

餌となるものに、栄養価の高い餌となるように餌を与える。
日本語としては間違ってはいませんが、なんだか頭がこんがらがりそうですね。
簡単にいえば、『餌にも餌を与える』です。
こう考えると、大自然の生態系の、ほんの一部を垣間見た気分になりませんか?

イサザアミイサザアミ

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