2013年07月01日
トリーター:伊藤

サンゴの魅力=サンゴの何か

7月のテーマ水槽「美しきクラゲの仲間 l サンゴ編」7月のテーマ水槽「美しきクラゲの仲間 l サンゴ編」


みなさんこんにちは。
7月からの“えのすい”は全館あげてクラゲづくしです。
テーマ水槽では、クラゲの仲間(刺胞動物)、サンゴを取り上げます。

サンゴって人気ですよね。
南国と聞けば、だれもが思い浮かべるサンゴ礁。
当館含め、「サンゴ水槽」がある水族館も多く、いわゆる「背骨のない生き物」の中では、一番人気のグループでは、と感じます。

一方で、水槽の前でお客さまの声を聞いていると、ちょっと違和感があるのも事実です。
聞こえるのは
「サンゴ礁のお魚きれいねー」
「明るい水槽に魚がいっぱいだー」
といった言葉。

「おっ!このスリバチサンゴ、アジサイのように満開だ!」
とか
「このヒユサンゴ、エメラルド色に光って宝石みたい」
とかいっている人は見たことがなく(いたらすみません)、きっとまれなのでしょう。

違和感の正体、それは、多くの人々にとってサンゴは「風景」であり「脇役」である、ということではないでしょうか。
クラゲが種類ごとの特徴をクローズアップされるのと対照的です。
サンゴの魅力とは、自然の海における景観まるごとの美しさであり、青い空、白い雲、といったものに近く、まわりにいる魚や、差し込む太陽の光込みの美しさなのだ、と考え至ります。

思えば私も、何となくそう感じてきました。
南国好きで、いろいろな海に入ってきましたが、サンゴよりは、その周りにいるハゼや、ウミガメ、パイプウニに目が行き、サンゴを注視するのは、踏まないように気を付けて浅瀬を歩く時くらいでした。

というわけで今回、私自身もサンゴを違った角度から見てみようと考えながら展示をつくっています。その種類ごとの特徴や、死んだあとの役割、はたまたちょっとお遊び的な要素も入れています。
ゆらゆら動くクラゲを見た後は、どっしり動かぬサンゴを、じっくりとご覧ください。

テーマ水槽

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