2013年10月24日
トリーター:杉村

JAMSTECとの共同研究「シロウリガイの長期飼育実験」その 4

シロウリガイの行動観察シロウリガイの行動観察

「その後・・・」

今年 4月 10日から始まりました「シロウリガイの長期飼育実験」。
シロウリガイの最終的な飼育期間は 152日間で、昨年に比べてたった 1日足らずの飼育期間に終わりました。
とても残念ではありましたが、よくぞ 150日を超えて生きてくれたと思います。
今回、研究にもかかわる事項も含まれていましたのでトリーター日誌での報告が遅れてしまいすみませんでした。

今回の長期飼育実験からは、これまでになかった多くの新しい知見を得ることができました。
水槽内の泥内部の硫化水素の量を実際に数値として見ることができたこと、シロウリガイの行動のようすなど、それ以外にもさまざまなことが分かってきました。
シロウリガイの行動と硫化水素との関連については、只今解析中ですので詳しくはお話しできませんが、何等かの関連はあるかもしれません。
解析結果が楽しみな所です。

硫化水素の測定を合わせて飼育中のシロウリガイの行動を観察するために、今回は長期にわたってその行動の記録撮影してきました。
シロウリガイはじっとしていて動ないように思われがちですが、時間を縮めて観察してみると実は非常にアクティブな生物だということが分かりました。


シロウリガイの行動観察


シロウリガイの行動観察

体の大部分を占めるであろう脚を使って泥の上を這うようすが観察され、時には二枚貝特有の 2本の細長い水管を頻繁に出し入れしたりするようすが撮影されていました。
私たちの時間が彼らに比べ早すぎるのかもしれませんね。
非常に面白い行動ですので、行動解析後に深海コーナーでみなさんにお見せできたらいいなあと思っています。

深海生物を飼育し、観察することで今まで知られていなかったことが次々と明らかになってきます。
“えのすい”ではJAMSTECと共同でさらに研究を進め、もっともっと深海生物の知られざる姿をみなさんに伝えられるように頑張りたいと思います。
シロウリガイには、今はもう会うことはできませんが「えのすい」の深海生物への研究について少しでも多くにみなさんに知ってもらえたら嬉しく思います。

寒い季節と共に、駿河湾、相模湾で深海生物漁が始まりました。
この冬も深海生物漁に乗船しますよ!!
変わった深海生物で賑わう、これからの深海コーナーに注目してください。

バックナンバー
2013/ 04/ 13 シロウリガイの長期飼育実験スタート!!
2013/ 06/ 17 JAMSTECとの共同研究 その 2「シロウリガイの長期飼育実験」
2013/ 07/ 31 JAMSTECとの共同研究 その 3「シロウリガイ飼育日数 100日越えた」

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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