2014年03月22日
トリーター:加登岡

理想の体形

バンドウイルカバンドウイルカ

プールの中を追いかけ合っているイルカたちを見て、泳ぐのが速いなと改めて思いました。
自分が高校生の頃、体育の授業でクロールを泳いだ時は 50mを 33秒で泳いだ記憶があります。
今は体力が落ちた分もっと遅いですが・・・。

それはさておき、イルカ達は最高時速 40kmで泳ぎます。
これを人と比べると、クロール 50mの世界記録が 20秒 91。
イルカはというと 50mを 4秒 50で泳いでしまいます。
比較するととても速いことがわかります。
単純計算で僕が 50mを泳いでいる間にイルカは約 367m泳いでしまいます。

細かい話しをしていたら何をいいたいのか良くわからなくなってしまいましたが、僕がいいたいことは、どうしてイルカはこんなに早く泳げるのか?ということです。

それはイルカの体に秘密があります。

イルカは水中を素早く泳げるようになるため体の形をさまざまに変化してきました。
まず、イルカは頚(くび)のくびれを無くし、それにより流線型の体形を手に入れました。
これにより水の抵抗を少なくすることができるようになりました。
その他にも水の抵抗を減らすためのさまざまな進化が見られます。ここでも人と比べると分かりやすいかもしれません。

次に注目するのは耳です。
人の耳には耳介があります。
耳介は「耳はどこ?」と聞かれたら、多くの人が指差す部分です。
この耳介は音をキャッチするのに役立ちますが、水中を速く泳ぐ為には抵抗となってしまうため、イルカにはありません。
では、何処でイルカは音を拾うかというと、下顎でキャッチしています。
下顎には空洞があり、その中の音響脂肪という特殊な脂肪を伝って、耳の内部に音が伝達します。

そして、人にある体毛もイルカにはありません。これも摩擦となるため、消失しています。
水泳の選手も抵抗を少なくするために、毛を剃って試合に臨むそうです。
ただ、イルカに毛が全くないかというとそうでもなく、生後まもなくの間は、吻先に感覚毛と呼ばれる毛が生えています。

また、鼻の位置も泳ぎながら呼吸ができるように頭頂部に移動しました。
呼吸するためにいちいち顔を水面から出していたら大変ですよね。

同じく目の位置も、速く泳ぐことによるデメリットを解消するために工夫されています。
獲物を追う捕食者の目は、獲物までの距離を把握するために顔の正面にあります。
ライオンやフクロウ、私たち人間がそうですね。
一方で、追われる側は外敵をすぐ発見できるように、顔の側面に目が位置し視野を広げています。
イルカはどうかというと、捕食者ですが目は顔の側面にあります。
これは水中を高速で泳ぐ時に、摩擦や浮遊物で目を傷めないようにするためと考えられています。

こうやって見るとイルカの体形にはちゃんと意味があることが分かります。

次にイルカを見た時に、少し見方が変わるのではないでしょうか?
ぜひイルカのスピード感ある泳ぎを見に来てください。

イルカショースタジアム

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