2014年03月25日
トリーター:伊藤

どうなるかなマングローブ

通称「マングローブ水槽」通称「マングローブ水槽」

当館の展示は水槽ごとに担当者が付いています。
冷たい海・暖かい海ゾーンにある半水位の通称「マングローブ水槽」は、6年前にイワガニ類の木登りを生態展示しようと、再現しました。当時、まだまだ新人であった私に初めて与えられた「自分担当の水槽」でした。
現在、いくつかの展示を担当しておりますが、その中で最も思い出深い水槽をひとつ挙げるなら、間違いなくここです。

その後、一度担当を離れましたが、3年前に再び同水槽の担当となり、2度目となるマングローブ展示として再スタートし、地味ですが変わった動きや形のマングローブ生物を迎えて、ややマニア好みな展示として発展させてきました。
中に入っているカニ類や、魚名板のない隠れキャラ「ヤエヤマノコギリハゼ」、「ハスジマハゼ」、「アマミイシモチ」など自家採集してきた生物も多く棲んでいます。

そして、このたび、またもや主担当を離れることになりました。
「水槽」は生き物ではありませんし、ましてや「私のもの」では決してありません(当たり前ですね)。みなさまに楽しんでいただく、当館の展示の一つ、と分かってはいますが、やはり寂しいものです。これがモノに魂を感じる、ということなのでしょうか。

展示自体はしばらく続くと思いますが、少しずつ、新しい担当者の色が出てきて、やがて別のテーマの展示に生まれ変わります。それは、他の水槽にもいえることです。

今はマングローブの代わりに、新しい相棒となる水槽があります。その水槽をより一層、面白くしていくことを使命として捉え、作り手の私も楽しみながら展示を作っていきたいと思います。

今晩のところは、1つの水槽との別れを胸に、一人静かに杯を傾けたいと思います。

太平洋

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