2015年03月11日
トリーター:戸倉

意外な利用方法

現在、ウミガメの浜辺にある子ガメ水槽には、1頭の子ガメを展示しています。子ガメたちがまだ小さかった頃は、あの水槽に 12頭も展示していたときもありましたが、成長とともに展示頭数を減らし、とうとう 1頭での展示となっています。気付いている方もいらっしゃると思いますが、その子ガメは毎日入れ替わっています。他の子ガメたちはバックヤードの水槽にいて、1頭ずつ網で仕切られています。

最近、その網をよじ登ろうとする子ガメがいます・・・・えっ! ウミガメが網を登る?? あのヒレで?? そうです。あのヒレで・・・ 実は、そこには“からくり”があります。ウミガメのヒレには、爪があります。その爪を網目に引っ掛けて登ろうとするのです。


網に爪を引っ掛けて・・・


上を目指します!(顔に力が入っています)

今のところ、登っても全身の 3分の 1ほどが水面から出る程度ですが、まあ、全身が出ることは無いでしょう。何を目指しているのかは分かりませんが、隣の子ガメに餌を与えているときや、人が近くに居るときだけ見られる行動です。(誰もいないときにこっそり見に行くと水槽の底で休んでいることが多いので、人に構ってほしいのでしょうか?)
子ガメの爪は鋭く、当たるととても痛いどころか、怪我をしますが、当館の場合、親ガメになる頃には擦れてしまい、当たっても痛くありません。プールで飼育していると、浅瀬に来ることも多く、歩くときにちょうど爪の部分が床面に当たり、擦り減ってしまうのです。


子ガメの爪


親ガメ(のんき)の爪

ですから、爪を使って、iroirodeki
るのは今のうちですね、もちろん自然の海で生活するウミガメは、爪が擦れる環境が少ないため、飼育下のウミガメのように擦れてしまうことは少ないでしょう。
また、雄の場合は、成熟すると爪が湾曲し、文字通り“鉤(かぎ)爪(づめ)”の様になります。これは、雌と交尾をする際に前ヒレの鉤爪でしっかり雌を保定するのに役立ちます。ウミガメの浜辺にいる雄の「シロ」の爪は擦り減ること無く、鉤爪になっていますので、ガラス越しに確認してみてくださいね。
(雄雌の見分け方は、2月 9日のトリーター日誌 2015/ 02/ 09 何だか分かりますか?で説明していますよ!)

ウミガメの浜辺

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