2017年10月02日
トリーター:伴野

「ライラ」との 1年

「ライラ」「ライラ」

みなさん、こんにちは!
きょうはミナミアメリカオットセイの「ライラ」を紹介します。

「ライラ」は去年の 8月 31日に“えのすい”にやって来ました。

私はそれまでベテランのアシカやイルカたちとしかコンビを組んだことが無かったので、本当にゼロから一緒に始める動物は「ライラ」が初めてでした。

今までは、僕よりもずっと前から“えのすい”で生活している動物たちとコンビを組んでいたのでいろいろなことが当たり前でした。
例えば、

トリーターの前にいてくれる。
手から魚を食べてくれる。
合図にこたえて種目を見せてくれる。
トリーターの前にいてくれる。

どれも当たり前のように聞こえるかもしれませんが、決してそうではありません。
もちろん、「ライラ」も最初はそうでした。

魚を食べてくれなかったり、近付こうとすると怒られもしました。
どうしたらもっと信頼してもらえるか。
先輩トリーターたちに助けてもらいながら試行錯誤の日々でした。

すこしずつ魚も食べてくれるようにもなり、体を触っても怒られないようになって来た頃から、何か種目を一緒に作り上げていくこと始めました。

最初に挑戦したのが「お辞儀」です。
そんなの簡単そうと思うかもしれませんが、言葉が伝わらないので「お辞儀して」といっても当然お辞儀をしてはくれません。
こちらから何かアプローチをしてお辞儀という行動を引き出さなくてはいけないのです。
そこで「ターゲット」という道具を使いました。
「ターゲット」とは動物たちに目標にしてもらう道具です。
どのように使用するかというと、ターゲットを当てて欲しい動物の体の部位に当てて魚をあげます。例えば口先にターゲットを当てて魚をあげることを繰り返します。すると動物は口先にターゲットを当てれば良いんだということを学習し、自ら当ててくれるようになります。そうするとターゲットを使用してさまざまな動きが引き出せるようになります。
「ライラ」も最初、口先にターゲットを当てることから始めました。口先に当てることを覚えてくれたら、そのままゆっくりとターゲットを地面の方へ動かします。
するとどうでしょう。お辞儀っぽい形になりました!
ターゲットを使用することで頭を上から地面の方向へ動かすという動きが出来ましたね。
でも、まだまだ完成ではありませんよ。お辞儀の完成形はトリーターがお辞儀をしたら一緒にお辞儀をするということ。
今度は、私がお辞儀をすると同時にターゲットで誘導し「ライラ」にも一緒にお辞儀をしてもらうことを繰り返します。
そして徐々にターゲットの呈示を消去していくと...
私の合図で一緒にお辞儀をしてくれるようになりましたー!!
これが、私が初めて動物たちと一緒に種目を作り上げた瞬間です!!
とっても嬉しかったです。


お辞儀できるようになりました

他にも一緒に練習してできるようになったこともあります。
まだショーでお見せしたことのないかわいいしぐさもあります。


言葉の伝わらない相手にどうやったら自分の思いが届くのか。
「ライラ」と一緒に過ごしたこの約 1年、多くのことを教えてくれました。
「ライラ」が私をトリーターとして少し成長させてくれました。


毎日少しずつ成長していく「ライラ」を見ていくのがとっても楽しいです。
これからも一緒に成長していきたいなと思います。


今年 1月の「ライラ」。今では体も一回り大きく成長しました!

イルカショースタジアム

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