2018年05月30日
トリーター:岩崎

相模湾旬の魚図鑑 その5 マアジ

マアジマアジ

味や良いので“アジ”。
アジの仲間は名前の通りおいしい種類が多いです。
その中でもマアジ(Trachurus japonicus)は手頃な値段で入手できることから、食卓の万能選手、大衆魚として親しまれてきました。
アジの刺身、アジのたたき、アジの塩焼き、アジフライ・・・。
ちょっと想像してみるだけで、記憶に残るそれぞれの味が、口の中で“じわっと”広がるのはわたしだけでしょうか?

適度なうま味と脂ののり、身の締まりと舌ざわりで、どんな料理でもおいしさの出し惜しみをしないところが、マアジのすごい所と言えるでしょう。
近年は産地によってブランド化されているマアジですが、相模湾のマアジも脂がのって、とてもおいしいです。
今が旬のマアジをぜひお楽しみください。

相模湾大水槽にもたくさんのマアジが泳いでいるのですが、気がつかない方が多いようです。
その理由は金色に輝くその姿。
マアジは外洋を回遊する青黒っぽいものと、沿岸に定着している黄色っぽいものがいることが知られていて、同じマアジでも全く違って見えます。
相模湾大水槽のマアジは、“黄金色”といってもよいくらい黄色が強く出ています。
外洋性の青黒っぽいマアジを入れても、いつの間にか黄色になってしまいます。
マアジといえば青黒いイメージが強いので、黄色いマアジは見逃されてしまうようなのです。

水深がある外洋では、海の色が深い青から紺色なのに対して、沿岸部の海は、水深が浅くて明るい感じの色なので、マアジは周囲の色に合わせて目立ちにくい色を選択しているのかも知れません。
また、あまり泳がなくても餌を見つけやすく、栄養が豊富な沿岸部の方が、脂ののりも良いことから、運動面と栄養面の差が、色の違いに反映されるのかも知れません。
相模湾大水槽では、明るくて栄養豊富な沿岸部に近い環境なので、マアジは黄色を選択しているのでしょうか。
推測の域を出ませんが、マアジのように身近な魚でもわからないことが多く、自然はほんとうにおもしろいなと思います。

金色に輝く相模湾大水槽のマアジ。
中層を泳いでいることが多いので、さがしてみてください。

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