2018年07月21日
トリーター:西川

乾燥標本作りに挑戦!

暑い日が続いていますが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。
私はこの暑さを利用して、カニの脱皮殻を乾燥させていました。
この脱皮殻は、現在展示しているレッグスパンが 11メートル以上あるタカアシガニの脱皮殻です。
今回はその乾燥標本作りに挑戦してみましたので、作製の過程をご紹介しようと思います!

水槽から取り上げた脱皮殻は、まず、塩分を抜く為にこんな感じで 2、3日真水に浸けます。


そして塩が抜けたら形を整える作業に入ります。
これが完成時の形を決める大事な作業です!
今回は発泡スチロールを使って、威嚇をイメージしたこんな形に固定してみました!
カニの脚を発泡スチロールに挿して、お腹の下にも発泡スチロールを入れたりして形を整えました。


どうですか、立たせてみると大迫力ですよね。
しかしこの翌日、乾燥させ始めた後に私は気づいてしまったのです...
果たしてこの仔は自分の力で立つことができるのか、と。

実はこの仔、前方の脚を上げてしまったが故にバランスが不安定なんです。
全ての脚を地面につけるようにして乾燥すれば普通に立ってくれるのですが、後方の脚だけで全てを支えるのはかなり難しそうです。
いや、でも私はどうしてもこの形が良かったのです、威嚇をしているようなこの形が!
もし立たなかったとしてもこれが良い!と思い、そのまま乾燥させました。
乾燥期間は約 1か月!
カラカラになるまで乾燥させたものがこちら!
見た目ではあまり変化がないように思えますが、触ってみるとパキパキした感じで強い力を加えると割れてしまいそうです。


そしていよいよ、発泡スチロールを外して地面に立たせてみます。
さあ、タカアシガニは立ってくれるのか!

じゃん!


どうですか!見事立ちました!
よく見ると 3本の脚しか地面に触れていませんが、我ながら上出来です。
今回作った乾燥標本は、「しんかい2000」の周りで展示しています!(これまで作製された乾燥標本も同じ場所にたくさん展示しています。)


最初は上の写真のように展示していたのですが、タカアシガニはこんな感じに威嚇しないよ、と先輩トリーターからご指摘をいただきましたので、今は岩に登る展示に変更となりました。
威嚇のイメージで作ったのに...
完全に勉強不足でした。
でも、岩を登っているタカアシガニはとっても迫力があります!
その姿は“えのすい”に来てからのお楽しみということで!
ぜひ間近でご覧になってください!

深海Ⅱ-しんかい2000-

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