2018年08月27日
トリーター:大下

シラス

シラスサイエンスシラスサイエンス

シラスの状態を展示するために繁殖を続けて、現在では“えのすい”で生まれたシラスは六世代目となりました。
私がシラスを担当するようになって非常に日が浅いですが、実際に世話をしてみなければ、わからなかったことや意外だったことが多くあります。
シラス担当の若輩である私が見て、感じたことは、この日誌を見ていただいている方々と近い視点になのでは?と思いましたので、私が感じたことを分かりやすく書き連ねてみます。

◇卵がいちばん強い



担当してみて、いちばん驚いたことです。
カタクチイワシが産卵した卵をネットから移す時は、想像以上に無配慮にすくっても問題ありません。
移動した先の水質とかも、あまり気にしなくて大丈夫です。

◇ふ化してからシラスまでが大変

シラス

生まれて 1か月ほどは大変弱く、ちょっとした刺激の変化で全滅します。
例えば、エアレーションを少し強めるとか、水槽に注ぐ海水を少し増やすとか、餌となるワムシを雑に注ぐとか・・・。

◇飼育している水を綺麗にしない
シラスの時期が終わるまでなのですが、少なくとも数週間は原則、水槽の掃除はしません。
水を綺麗にする濾過も動かしません。綺麗な海水も注ぎません。
これも驚きでした。
当然ですが、底や水質はどんどん汚れていきます。
自然下で育つ環境とはだいぶ違うはずです。
しかし、今のところ、この方法が飼育下でシラスを幼魚まで育て上げるのにベターなのです。
水槽内に手を加えるタイミングを誤ると、よかれと思ってやったのに、シラスを死なせてしまうことになります。

ざっくりではありますが、私にとって必要だろうと思っていたことが不必要であったり、大丈夫だろうと思ったことがやってはいけないことであったりします。
非常に繊細な面を持ち合わせていますが、卵からふ化してシラスになって成魚へと成長していく過程を見られることは、非常に嬉しい限りです。

9月の平日には「シラスのごはん」と称しまして、給餌解説を実施いたしますので、ご都合があえば、聞いていただければ幸いです。
今回のトリーター日誌よりは、深い話ができるかと思います。


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