2015年04月25日

伊豆・小笠原弧 かいよう航海日誌(2)

  • 期間:2015年4月24日~4月29日
  • 場所:伊豆・小笠原弧の熱水域
  • 目的:伊豆・小笠原 深海生物群集調査
  • 担当:根本

潜航!明神海丘

朝6時頃、無人探査機ハイパードルフィンが置かれているデッキに上がると、すでにハイパードルフィンの運航チームのみなさんは調査機器の取り付け作業をされていました。
空はやや曇っているけれど風もなく、海も穏やかで問題なく潜航できる天候です。
ユノハナガニサンプリング用トラップに餌を取り付け、搭載していただくためにチームのみなさんの元へ持っていきます。トラップにユノハナガニが入る姿を妄想しつつ、吊り上げられ海に投入されるハイパードルフィンを見送りました。

しかし、ハイパードルフィンが海中で安定しません。
着底もままならない状態に・・・ 。
流れが速く機体がうまくコントロールできないようです。
ハイパードルフィンは電源供給や映像伝送をおこなうために母船とケーブルで繋がれていているのですが、このケーブルが潮流に流され思うように潜航ができないのです。
運航チームのリーダーである運航長を始め、運航チームのみなさんがありとあらゆる手段を尽くし必死にリカバリーを試みてくださったものの、海の流れに抗うことは難しく、本日の潜航は断念せざるを得ませんでした。

高性能でパワフルな無人探査機ハイパードルフィンであっても風や波、そして今回のような潮流の状況によっては潜航できないことはよくあります。
深海生物の調査は限られた日数の中でさまざまな条件が幸運にも揃った場合にのみ調査をおこなうことができます。1年以上前から研究や実験の計画を立てていても、肝心のサンプルが取れないということもあります。
サンプル入手の難しさを緩和する方法の一つとして、私たちがおこなっている「飼育」があります。
飼育技術は生息現場では難しい長期間の行動観察や実験などを可能にする技術ですが、同時に研究者に生きたサンプルを提供する事を可能にする技術でもあります。
必要な研究者に必要なタイミングで生物を供給できれば、深海生物の研究も今までより円滑に進んで行くようになるかもしれません。
将来飼育下での繁殖が可能になれば、より多くの方に供給が可能になり、深海生物の資源保護にもつながるかもしれません。
とはいえ、まだまだ飼育に関しては乗り越えるべき技術的な壁がたくさんあります。
今は研究者のみなさまに助けていただいてばかりですが、近いうちに恩返しができるようになるとうれしいですね。

きょうは残念でしたがあす以降に期待し頑張っていきましょう!


本調査は、JAMSTECが東京都から特別採捕の許可を得て行っているものです

JAMSTEC(海洋研究開発機構)KY15-07「かいよう/ハイパードルフィン」による伊豆・小笠原深海生物群集調査

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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