2017年02月14日

江の島海藻調査(2)江の島と言えば弁天様ですが・・・

  • 期間:2017年2月14日(火)
  • 場所:江の島
  • 目的:江の島の潮間帯で見られる海藻相の把握
  • 担当:伊藤
ナラサモの群落。前回のタマハハキモクとの違い、分かりますか?ナラサモの群落。前回のタマハハキモクとの違い、分かりますか?


きのうに続けて本日も調査です。
場所はきのうの場所より少しだけ離れた岩場を見ていきます。
環境的にはよく似ているのですが、それでも、生えている種類が結構違っており、興味深いです。

沖合には「ホンダワラ」としては小ぶりなナラサモが局所的にわさわさと生えていました。丸っこい葉がかわいらしいです。
やや手前の岩場には、ツクシのような姿と、ゆでたエノキのような柔らかな手触りのユナも、ところどころにまとまって見られます。
ここでしばし、ユナの群落の近くに這いつくばり、入念にかき分けてある海藻を探します。
その名はベンテンモ。ユナの体からおできのように生える奇妙な寄生藻です。
前回触れたベンテンアマノリと同様、江の島の弁天様に由来した名を持っており、学名もBenzaitenia yenoshimensis と「ザ・江の島」な注目すべき海藻ですが、残念ながら見つけられませんでした。
ここしばらく、江の島からの記録がないらしいので、ぜひ見つけたいところでした。
今後もユナを見つけたら、都度探すつもりです。


ベンテンモの宿主となるユナ

昨年、海藻の専門家Aさんからいろいろ教えてもらったものの、未だ同定に確信が持てない海藻もいくつかあります。
種類によっては姿かたちがよく似ており、同種内でも変異が大きいのが曲者です。
特に苦慮させられるのが以下のようなケースです。
潮間帯の上の方にみられるアオノリやアオサの仲間。
アオノリは生え方から 2~ 3種類くらい区別できましたが、アオサは特にキツイです。
専門家でも遺伝子を調べたり、葉を細かくきざんで顕微鏡で断面を見たりして区別するらしいですからね。


アオサ類の群落。上の方がボタン、下の方がアナに見えます、が・・・。

小さな紅藻は「葉が枝分かれし、先端が二股」の種が多くて難儀です。
カバノリのように葉を折り曲げた時に折れるかどうかで確信できる種もあれば、藻体全体の立体感や、仮根近くの茎の形状、はては手触りなどから何とか同定していく種もあり、現場では時間との闘いです。
あとで誤同定を正せるよう、標本を残すように心がけなくてはなりません。


現場で同定できず。何でしょうコレ

そんなこんなで2度目の調査が終わりました。
次回はがらっと環境の異なる島の東側や北側へ向かいます。
ひたすら地味に続きます。お楽しみに?

相模湾ゾーン

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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