2019年04月29日
トリーター:岩崎

相模湾旬の魚図鑑 2nd Season その4

今年もツバメたちがやってきました。
青空をヒラリ、歌や巣の手入れに忙しそうです。
そんなツバメの季節に紹介する魚は、ツバメウオ( Platax teira )です。

日本沿岸に広く分布している魚で、黒い縞模様が入った体に、ツバメが翼を広げたような大きなひれもつことから“ツバメウオ”と呼ばれるようになったといわれています。

幼魚は背びれや尻びれが長く伸びた、特徴的な体型をしています。
これは、海流の中を木の葉のように漂って、外敵から身を隠しながら、遠くへ移動しやすい形なのでしょう。
相模湾では、夏から秋にかけて流木や流れ藻といっしょに幼魚が見られます。
身近な漁港やヨットハーバーなどでも見つけることができますので、さがしてみてください。

幼魚は単独か数尾でいることが多いのですが、成魚になると大きな群れで生活するようになります。
相模湾では食用としてあまり馴染みのない魚ですが、場所によってはおいしい魚として扱われています。
白身で脂の乗った身は、刺身や焼き物などにして、好んで食されています。

ツバメウオにはちょっと思い入れがあって、食の視点からは見られなくなってしまいました。
相模湾大水槽のダイビングショーうおゴコロでは、“フララ”と愛称を付けているツバメウオがいます。
ショーが始まると寄って来て、ゆったりといっしょに泳いだり回ってみたり、のんびりと遊んでくれます。
こんな風にいっしょに遊んでいると、フララをはじめ、うおゴコロで共演している種類の魚は、食べる対象としては見られなくなってしまうのです。
もはや魚を越えて、友達や家族に近い特別な存在、といったところでしょうか。

他の種類の魚には申し訳ない、身勝手で矛盾した感覚なのですが、それが人間の感情というものなのかも知れません。
命をいただく重さと責任を感じながら、感謝を込めて魚たちと接していきたいと思います。

ツバメウオは、相模湾大水槽の浅瀬でも展示しています。
ツバメウオの中でも特別なフララは、気が向けばダイビングショーうおゴコロに出演してくれます。
ぜひ会いに来てください。


uogokoro(うおゴコロ)にて

[ 2019/03/29 相模湾旬の魚図鑑 2nd Season その3 ]

相模湾ゾーン

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