2019年06月01日
トリーター:足立

黒冠水母

5月30日まで、調査航海に出ておりました。
広島県の呉港から、那覇までの往復だったのですが、10数か所の観測点で、ドレッジやプランクトンネットによる生物採集や、砂や泥の採集を行いました。
水族館から乗り込んだからには、採集された生物を何としてでも水槽で展示したいという、貪欲な気持ちを密かに持ちながら、毎回の調査に臨んでいました。
航海最後の採集で、「それ」は上がってきました。
船内でキープする時間が短ければ短いほど、展示できる可能性は高くなります。
ラッキーでした。
プランクトンネットで上げてきた採集生物を回収していた研究者から、「足立さーんっ」と大声で呼ばれ、行って見てみると、深海性のクラゲの代表ともいえる「クロカムリクラゲ」でした。
しかもしかも、擦れも少なく、大きさもソフトボール大(←この種にしてはかなり大きなサイズ)!
「うわーっ、すごいっ、どうしようー」と、私にしては大きな声でわめきながら、顔は笑いながら、予想外のサイズだったので、入りきらないことが分かった容器を一回り大きなものに取り換えるために船内を走り回りました。
しかし、私の真の仕事はむしろここからで、まずは生きた状態で、水族館に搬入しなければなりません。
下船するまでの間に、繰り返し水を変え、下船後も、冷蔵の宅配便に願いを込めて、発送しました。
31日の朝、届いた宅配便を恐る恐る開けて、しばらくようすを見るも、嗚呼、動かない。
ため息をつきながら、まあ、仕方がないかと、残念ながら死着だったことをお世話になった乗船研究者のみなさんにご報告しました。
標本にしよう、と、もう一度袋の中を覗いてみると、ブワーンと拍動するではありませんか!
「うわ!生きてたーっ」すぐに低温の水槽をセットし、展示に向けての準備を始めました。
明日の朝、まだ生きていたら、展示する!!(たぶんイケる!)

クラゲサイエンス

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