2019年09月21日
トリーター:八巻

タギリカクレエビ

タギリカクレエビタギリカクレエビ

タギリカクレエビという小さなエビがいます。
大きさは 2~3cmほどで、全身が赤色から透明です。
地味なエビですが、鹿児島湾の一部の海域だけ生息している、ちょっとかわりもの。えのすいで繁殖にも成功しています。

先日展示変更を行い、現在 深海l でみることができます。
でも、とにかく小さいので、探すのが大変です。
そこで、じっくり見てもらえるよう小さなケースに入れて見つけやすくしました。


ということで、今日はこちらのエビをクローズアップしてみたいと思います。
和名につく「タギリ」。
あまりなじみのないこと言葉ですが、鹿児島湾の奥の方に、水面がプツプツと泡だっている海域があります。
その泡のことを地元では「タギリ」と呼んでいるのです。
泡の正体は火山性の噴気ガスで、その水深 80~100mほどの海底にはサツマハオリムシの群生地があり、ところどころからブクブクと泡が噴き出しています。
そこをすみかとするので「タギリ」の名前がついたわけです。

展示水槽に入っている枝のような棒は、サツマハオリムシのつくるチューブで、実際もこのようにサツマハオリムシのチューブの森に隠れすんでいます。

「カクレエビ」の仲間は実はたくさんいて、タギリカクレエビと同じホンカクレエビ属のなかまは全世界で 170種以上と言われています。
すんでいる場所もさまざまで、浅海のサンゴ礁から深海まで幅広く分布しています。その多くは、タギリカクレエビがサツマハオリムシと一緒に生活しているように、他の生き物と共生しています。
ウミウシカウレエビやトサカカクレエビなど、一緒にすんでいる生き物の名前がついたものも多いです。
オシャレカクレエビやオドリカクレエビなど、面白い名前がついたものもいます。
このように、小さな生き物にもたくさんの魅力がつまっています。
ぜひえのすいへ、その魅力を探しに来てください!

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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