2021年04月29日
トリーター:加登岡

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担当が変わってもう 1年が経ってしまいました。
あっという間に時が過ぎたように感じます。私はサメが好きで飼育員になりましたが、そんなサメの仲間たちにも出会えた 1年でした。

例えば、マオナガ!
この全体の半分を占める立派な尾鰭!!いつか生きている姿を見てみたい種類です。


その他にはカスザメやアイザメの仲間、そしてクロヘリメジロザメに出会えました。
遊泳性のサメの仲間や深海のサメの仲間は陸上に、陸上にいるとなかなか生きた状態で出会えません。
ですが、生きていないサメでも直接見て、触れることに幸せを感じています( ← 変態です)。
クロヘリメジロザメに関しては飼育ができ、その姿を見るたびかっこいいなぁと思う日々です。
ただ、展示に至るまでは苦労がありました。
飼育するうえで、餌を食べることは重要です。ここがうまくいかないと次につながりません。
バックヤードでは餌を餌付け棒につけてヒラヒラ揺らしてみたり、時には活餌を入れてみたりしました。しかし、無反応。むしろ逃げてしまいます。
食べない日が続いたため、強制給餌なんかもしました。
しかし、それでも自力摂餌しませんでした。
バックヤードでは 1匹だけで飼育していいため、環境を変える意味を込めて相模湾大水槽に移しました。
これでどう変わるか・・・
しかし、食べているようすは見られません・・・
餌を撒いている時も、他の大きな魚が来ると逃げてしまいます。
「サメ」と聞くと強くて怖いイメージを持つ方が多いかもしれませんが、神経質で警戒心が強く、すぐに逃げてしまいます(注:種類やサイズ、環境により異なります)。
特に小さいサイズでは捕食される側になる危険性が高いです。
サメと言っても、相模湾大水槽で頂点というわけではないのです。
ここでも強制給餌もおこなっていましたが、これだけでは先に進まないため、一旦やめて、ようすを見ることにしました。
毎日体を見て痩せていなかどうか確認して見守ります。

そんなある時、「餌を食べたよ」という言葉を他のメンバーから聞きました!
ついに自力摂餌が確認できたのです。
何を食べたのかと思ったら、意外や意外、剥きアサリやオキアミを食べたとのことです。どちらも親指の爪より小さいサイズの餌です。
立派な切り裂く歯を持っているのに・・・ まさかでした。
ですが、他の日にはちゃんと?アジの切り身など立派な歯を活かせそうな餌を食べてくれました。
摂餌が安定してきたら、次は最終目標地点のサメ水槽へ移動です。

移動日当日、準備を万端にして、いざ出陣!
網で掬って、担架へ収容。


手際よくサメ水槽へ移動して、水合わせ後に他のサメたちと合流です。
私も水中でスタンバイして、クロヘリメジロザメを見守ります。


クロヘリメジロザメも最初は水槽の雰囲気をつかめずいましたが、徐々に安定して泳げるようになっていきました。
今ではモリモリ餌を食べています。環境もこちらの方が良かったのか、動きに切れがでてかなり機敏に泳いでいます。
また、餌を食べる瞬間は「The サメ」という感じです。
水槽の中で一番大きくなるのもクロヘリメジロザメなので、今後の成長に期待です。

最後になりますが、実は昨年もう 1種類珍しいサメに出会えました。
人生で初めて生で見ることができて興奮しました。
それはちゃんとした報告という形で残せないか検討中です。そのため形になりましたらまた、みなさまにご報告しようと思います。

太平洋

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