ウミガメの浜辺

ウミガメたちを間近で観察

相模湾とウミガメ -えのすいeco-

新江ノ島水族館は、旧館の頃より半世紀以上にわたり、生物の生態学(エコロジー)を究明し続けてきました。そしてこのことは今日のアカウミガメの産卵巣保全活動やえのすいビーチクリーン&ビーチコーミングなど環境を考える活動(エコアクション)に引き継がれています。
ウミガメやそれを取り巻く生物たちが生きていくためには、きれいな海と砂浜が欠かせません。ここではウミガメを通して、相模湾の今を伝えます。

相模湾で見られるウミガメ

相模湾には初夏から秋、アカウミガメ、アオウミガメ、タイマイ、オサガメの4種が回遊してきます。ヒメウミガメは大変珍しく、相模湾ではほとんど見られません。
オールのような前肢で力強く泳ぎ、後肢は体のバランスをとるほか、産卵のとき穴を掘るのに使います。固い甲らで被われていますが、主に外洋でくらすオサガメだけは、隆起したすじのある柔らかい甲らをもっています。
これらのウミガメのうち、アカウミガメは唯一相模湾で産卵します。

アカウミガメ

アカウミガメ

アオウミガメ

アオウミガメ

卵が孵化するまで

卵が孵化するまで

ウミガメの食べ物

ウミガメたちは棲み分け、食い分けることでお互い共存しています。基本的に雑食性ですが、アカウミガメは主にエビやカニ類を、アオウミガメは海草類や海藻類を、タイマイは海綿類を、オサガメはクラゲ類を選択的に食べると言われています。

砂浜に残る足あと

初夏、砂浜に波打ち際から陸に向かうキャタピラのあとのようなものが見つかることがあります。これは産卵のために上陸したアカウミガメの足あとです。足あとからアカウミガメは前足と後足を交互に使うことがわかります。
秋、砂の中でふ化し、地上にはい出てきた子ガメたちの小さな足あとが、海に向かって無数についていることもあります。

アカウミガメの産卵巣のようす

ウミガメは一度に50~120個の卵を砂中に産みます。
卵は、産卵巣と呼ばれる丸い部屋でふ化までの期間を過ごします。産卵巣の温度が高いと、ふ化までにかかる日数は短く、温度が低いと長くなります。相模湾では約60日で子ガメが砂から出てきます。

アカウミガメの回遊ルート

日本で生まれたアカウミガメは、海流にのってメキシコ沖へ回遊し、ここで数年過ごした後、成熟する少し前に再び日本の近海に戻ってきます。
アカウミガメは世界一長い距離を旅する生物として知られています。
成熟後は、日本沿岸や東シナ海などで過ごします。

アカウミガメの産卵とえのすいの保全活動

日本は北太平洋で唯一のアカウミガメの繁殖地です。相模湾沿岸では、5~8月の夜間、砂浜に上陸し産卵します。湘南海岸の夏は海水浴客で大変にぎわいますが、毎年数件の産卵を確認しています。
卵が無事にふ化し、子ガメたちが旅立っていけるよう、当館では50年以上にわたり行政や住民の方々と協力して保全活動を行ってきました。

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