2006年11月06日
トリーター:櫻井

体内時計

紅葉シーズンも大詰め、見ごろを迎えていますね。赤や黄に葉の色が変わり大変きれいです。年に一度の周期での葉の色変わりですが、魚にも体色を変える種はたくさんいます。
そのメカニズムは、一つは性転換によるもの。紅葉のようにあっという間の出来事ではなく、成長段階で段々と変化していくものです。
もう一つは、婚姻色。繁殖期を迎えると、雄の体色がきれいになったりして、雌に求愛行動をとるのです。この繁殖期、紅葉同様周期的なものです。魚種によりますが、大抵一年にどの時期が繁殖期かが決まっています。これは、この「周期」というものが大切で、魚の体内に時計が備わっており、ちゃんと計っているんです。
魚だけじゃありません。地球上の生物ほとんど全てに体内時計は備わっています。一日周期・年周期などを刻みます。

紅葉は、外気温や日照時間により進行されます。自然界の生物たちの繁殖期なども、そのような外因的要因によるものがありますが、では水槽内での魚たちはどうでしょう。
一年中水温は一定、日照時間(照明点灯時間)も一定です。「恒常条件下での飼育」といいますが、そんなときこそ、生物時計が働き、一日あるいは一年といった周期を感じ取っているのです。
生物時計とその生物の行動の結びつきというのは、強い種と弱い種がいて、弱い種などは、恒常条件下になると周期が狂い、通年繁殖期になったりという現象が起こります。
腹時計は有名ですが、生物時計はこれとはまたちょっと違い、時間生物学という立派な学問があるのです。植物の葉の色の変化と同様、生物にも周期的に変わるものがあるんですね。時に大事なことであったりしますが、それがホルモンによる影響だけではなく、体内に備わった「時計」によるものだって、ちょっと、おもしろくないですか?

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