2009年02月26日
トリーター:石川

ペンギン記憶、私の記憶


はじめまして“えのすいトリーター”の石川です。
昨年 12月より“えのすいトリーター”の仲間入りをさせていただいております。
まだ 3か月に満たない新米のAROUND40です!?

実は旧江の島水族館時代に飼育技師として 15年勤務していました。前回の最終担当はペンギンでした。
今回もペンギンを含む部署への配属で、6年のブランクです。今いるペンギンは、去年生まれた「コハク」以外みんな知っている顔です。

この異動で周囲のみなさんから一番多かった質問は、“ペンギンは覚えていてくれていましたか?”というものでした。
過去にも部署異動でかつて担当していた生物を扱うことはありましたが、意識的に彼らが私を覚えているという実感を得たことはありませんでした。
今回またペンギンを担当するにあたって哺乳類でさえ、そういった意識を感じなかったので、ペンギンから 6年もたってそういった意識を得るとはあまり考えていませんでした。

担当して 1週間ほどで個体識別ができるころ、ペンギンたちのようすが変わってきました。
6年前、ペンギンたちに対してペンギンの行動を真似てペンギンから自発的な行動をうながそうとする取り組みをおこなっていたのですが、この動きを私に対してペンギンのほうからアプローチされるということが何度となくおこなわれ始めました。明らかに意識的な行動でしたが、私のほうが忘れていたくらいです。

この行動の要因としては、特定の個体に対してはふ化の際に“刷り込み”があったとか、コミュニケーションをとった際にある程度の存在(配偶者)と認めてもらえていたか、また別に要因があるのか、今はまだその辺りはわかりません。

現在私はなるべくそういった行動は取らせないように気をつけています。
6年の間に彼らの環境も飼育方法も変わってきています。
その中で彼らが自らペアを作ったり、仲が良いもので寄り添ったりして居心地の良い環境をつくってきていますので、まずは私がその環境を認識しなければいけません。
私たちの仕事は、はじめてすぐに答えが見つかるものではありませんが、時間をかけておこなうことでいろいろなことがわかってきます。

今回の異動によってペンギンたちの記憶力を再認識する事ができましたし、自らの記憶力のなさも実感しました。
これからもできるだけこういった行動を中心とした担当生物の話を中心に、わかりやすくみなさんへお伝えしていければと思っています。

これからもどうぞよろしくお願いいたします。

ペンギン・アザラシ

RSS