2009年10月19日
トリーター:石川

フンボルトペンギンの卵


フンボルトペンギンの繁殖は 1年中ともいわれていますが、当館では 10月ごろから 6月ごろに産卵が見られます。
フンボルトペンギンの卵は約 130g前後の重さがあり、鶏の卵より一回り大きいイメージです。
産卵状況により“卵重(らんじゅう)”はまちまちですが、当館では 120gを下回ると、うまく発生しないことが多いようです。
大きな個体の卵が大きいわけではなく、小さい個体でも大きな卵を産卵することがあります。産卵前には餌をたべなくなったりするのですが、小さな個体が大きな卵を産卵する場合は難産のようで、餌を食べない期間が長くなったり、あまり動かずに尾部を突き出したような格好でじっとしているといったようすが観察されています。

卵の形も個体によってさまざまですが、基本は卵型で、鋭端部と鈍端部がはっきりわかりますが、丸っこいものから細長いものまでまちまちです。一般には高齢での産卵になるほど細長くなるともいわれています。
ちなみにサイズを測る際は縦横の最長を計ります。これを長径、短径と表し、フンボルトペンギンは長径約 7cm、短径約 5.5cmです。
色は白色ですが、これは表面のざらざらした“クチクラ”と呼ばれる層の部分で、これを洗い流してしまうとやや青みがかった色をしています。
ちなみにこのクチクラ層は、空気だけを通すようにできているといわれています。われわれが食べている食用の卵などは出荷前に洗浄されていることから、クチクラ層はすでに洗い流されて表面がつるつるになっているものが多いようです。
この層が菌などの進入を防いでいるともいわれていて、洗浄したものでは腐敗が早いともいわれますが、産卵の際に血液や糞などがつくこともあり、ふ化を前提に考えるとあったほうがよいのでしょうが、食用としてはどちらが良いのかはわかりません。

フンボルトペンギンは卵を抱いてから約 40日でふ化します。
その間はただ暖めるだけではなく定期的に卵を回転させ、温める位置を変える“転卵”をおこなったり、“放冷”といって身体をうかせて新しい空気を入れて湿度を調整したりと、いろいろと世話をしています。
フンボルトペンギンは雌雄共同で同じように世話をしますが、当館では産卵直後やふ化前は雌の個体が抱卵していることが多いです。
フンボルトペンギンでは普通 2つの卵を産みますが、野生ではその時期餌がたくさん獲れるか否かで 1羽しか育たないこともあります。2卵目を産卵したところからしっかり抱卵し始め、2卵のふ化する日にちをコントロールしているようです。

さて今期は・・・ 期待したいですね!

昨年のコハク昨年のコハク

ペンギン・アザラシ

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