2009年10月30日
トリーター:寺沢

参観日

最前列中央に座る、息子が消しゴムで遊び始め、堪忍袋の緒が切れた、母親がつかつか、と歩み寄り、彼の後頭部に拳で一撃を加えた。
ゴツン、という鈍い音を合図に教室が一瞬静まり返った。

そんな、遠い昔の思い出のある、授業参観日。

いつもは、我が子の成長を楽しみに、遠めに見守っていた授業参観日に、彼らの通う小学校から、6年 2組の出前授業を依頼された。
なんでそんな日にという自分と、やってやろうじゃん、という自分が相談しても答えの出ない中、強引な先生から背中を強く押された。

海獣類の臨床の話に始まり、彼らが学んだという食物連鎖を軸にして、例えば、鯨骨に群がる生物群集のように腐食連鎖というものもあることや、旧館時代に深く関わったヨウスコウカワイルカにも話がおよび、気が付くと予定の時間を越えていた。

子どもを前に話をするとき、いい意味であの強烈な記憶のように、どれだけ生徒の心に残せるか、日々深く頭を垂れる。

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