2010年07月25日
トリーター:唐亀

小窓の小話「トビギンポ」


以前から小窓水槽に入れてみたいなぁと思っていた魚がいます。磯の岩場の砂だまりにで見られるんですが、物凄い勢いで砂に飛び込む小さな魚「トビギンポ」。
砂だまりに近寄ると、砂の表面を荒らして何かが隠れるのです。網で砂ごと掬うと、容易く網に入るのですが、網の中でも砂に飛び込むので、なかなか姿を確認できません。
何とか砂と分離して、生け簀に離すと、直立したまま動かなくなり、かなり擦れやストレスに弱く、ちょっとしたことで弱ってしまう魚だと思っていました。

今年初めての個人的採集の時も同じような感じでしたが、そのまま持ち帰りました。
ほとんど泳ぐことの無い状態でしたが、砂をいれた容器に放ったとたん、物凄い勢いで砂にダイブ!砂に潜ることに極端に特化しているようです。
確かに顔つきはとがっていて、体も細長く、なんの飾り気もないのですが、尖った口先は厚く砂に飛び込むのに適していそうです。
砂漠にすんでいるサンドスキンクという砂潜りのトカゲに顔つきが似ているのは、一つの収斂(系統の違う生き物が同じ様な環境で適応、進化すると姿、性質が似てくる状態)なのかと思ってしまいます。
その癖、目は頭の上にちょこんと飛び出していて、結構な脱力顔。その目はよく見るとカメレオンのように、左右別々にくるくる動いていて、更に変さを高めています。
砂の中にいて何を食べているのかというと、近くを通りがかるプランクトンなどのようで、イサザアミを入れると、これまた物凄い勢いで飛びかかって捕まえ、そのままの勢いで砂に潜ります。
小窓水槽では砂を薄くして、全身が隠れられないようにしています。
また、黒い砂を用いて目立つようにしていますが、本来もっと白い砂のところにすんでいます。

一見、何もいないようなところにも、好んでくらす生き物がいるんですね。

トビギンポトビギンポ

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