2011年08月19日
トリーター:崎山

こ、これは・・・


“えのすい”では、近隣の漁師さんから生きものをいただいて展示に供しています。
我々トリーターは毎日、海が目の前にある“えのすい”に来ていますが、当然、館内での飼育やショー運営などなどさまざまな業務があり、それほど頻繁に海に出られるわけではありません。
相模湾の生きものを紹介している我々にとって、近隣の漁師さんから混獲した生きものを入手できることは、最大の強みの一つであり、かつ無くてはならないものです。

さて先日漁師さんが、
「めずらしいのが獲れた、これ何ていうんだ?ちょっと見に来いよ」
といわれるので取りに行きました。
このように何か気になるものが獲れたりすると連絡をくれるのです。
たいがいは体形や顔つき、ひれ、体色などのようすで、
「●×★□ですね。」
とか、
「※△▼☆の仲間ですよ。」
と答えられるのですが、今回の魚は・・・。

正直ぱっと見ではわかりません。
どのあたりの仲間か、ということもはっきりせず・・・ 。
先輩方も首をひねっています。
大きさは 10cmちょっと、地は銀色で、黒っぽくて、体側模様に特徴があって、目は大きめ、口も大きめ、背びれと腹びれ、臀びれが大きい、
(シクリッド系でこんなのいたような・・・ 関係ないなあ・・・ イボダイ系?)
尾柄が細くて・・・、うーんと・・・、図鑑をパラパラ流し見したり・・・・・・。
今まで見たことがある魚との共通点を探したり、何か特徴はないかとか、いろいろなことが頭をよぎります。
・・・・・・・・・と、あ、よく見ると・・・、尾柄に、小さいけれど「ゼイゴ」があるではないですかっ!
ゼイゴがあるということはアジの仲間に違いない!
こういった大きな特徴がわかればけっこう早く見つかります。

オキアジ

一般には体高が高いこともあり、ざっくりとヒラアジとされてしまうこともあるようです。
西日本ではありふれた食用魚と書かれていることも・・・。
本個体のように小さいものほど黒い模様が目立つようです。
相模湾でも沖の流れ藻についていてルアーで釣れるとか・・・。
わかってみたら、あぁ、そういえば顔つきとかアイブリとかに似てるかなぁ、とか思ったりして・・・(完全に負け惜しみ状態ですが)。
なんとも勉強不足であります。

日本産魚類検索を開くと、近縁にインドオキアジというのがいました。
胸のあたりの鱗のようすが違うようですが、現状見てもわかりません。
インドオキアジの方がもう少し南の方に分布しているようで、相模湾からの記録は無いようですが、こんな時は、

オキアジの一種

としておくのが無難なところでしょうか。

今回いただいた魚は、現在「旬の水槽」にヒイラギやシロギスに交じって泳いでいます。
“えのすい”初展示になると思います(旧館時代の大昔はわかりません)。
魚名板はオキアジで出しています。
いずれにせよ、一般にはあまり見ない魚だと思います。
ぜひご覧になってください。
あまり目立ちません。
また、1匹だけなので、もしものことがあったら・・・ ごめんなさい。

オキアジオキアジ

相模湾ゾーン

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