2011年10月14日
トリーター:石川

ギョギョッと骨展~キングペンギンのホネ~


今月のイベントは「ギョギョッと骨展」ということで、大阪市立自然史博物館と日本大学生物資源科学部附属博物館にご協力いただいて、骨格標本を多数展示しています。( 10/31まで)
海に生活する生物は水の抵抗を少なくするため、外観は紡錘形、流線形となり骨格をイメージしにくいと思います。
今回ペンギンで展示されているのは、当館では飼育されていない種類、ペンギンでも大型種の 1種、キングペンギンのホネです。
大きいのでとても見やすいですよ。

まず一番初めの印象は、“ペンギンって脚、長っ!”といったところではないでしょうか?
生体で見えている部分は、脚からのほんの下の部分だけです。我々でいう膝などは、身体の中に入っているのですから短く見えるわけですね。

さて、生体と見比べていただけるとわかりやすいのですが、この脚の実際に見えている部分から地面についている部分の手前までのところに「ふ蹠骨(ふしょこつ)」という、上からみて穴があいている骨があります。
この骨は他の鳥類にもありますが、この骨の形でペンギンであることや、ペンギンのどのグループなのか、などがわかるそうです。
とてもペンギンらしい骨なのです。

もうひとつペンギンらしい骨があります。
翼にあたる平たいボートのオールのような形をした骨です。空を飛ぶためではなく、泳ぐことに徹するために発達した骨です。

そして飛べない鳥なのにダチョウなどの古顎類と呼ばれる鳥たちと違う、飛ぶ鳥と同じ骨があります。
胸の真ん中から突き出ている「竜骨突起」という骨です。
飛ぶ鳥は、この胸の骨で強力な胸筋を支えます。しかし飛ばなくなったダチョウの仲間には、無くなってしまった骨です。
この骨がペンギンにはあるのです。
まさしく水中を飛ぶために・・・
高速で泳ぐために必要な、強力な胸筋を支えるための骨として存在しているのです。

今お話ししただけでも、外観からはわからないけど「ペンギンがペンギンであるための骨」ということがおわかりいただけたでしょうか。
デジカメなどをお持ちでしたら、生体と骨格標本を同じ角度から撮ってみて、見比べてみたりするとおもしろいと思いますよ。

但し!この時期ホネを見ていると“お菓子をくれなきゃいたずらしちゃうぞ!”ってささやく声が聞こえるかもしれません。
そんな時は“えびせん”か“小魚チップ”をおいて、その場から静かに離れてください。・・・ね。

縮小脚 長っ!縮小脚 長っ!ふ蹠骨ふ蹠骨縮小フリッパーと竜骨突起縮小フリッパーと竜骨突起


◎ギョギョッと骨展~時を超えた魚たち~
 2011年10月1日(土)~2011年10月31日(月)
 → 終了いたしました
[協力]
・大阪市立自然史博物館
・日本大学生物資源科学部付属博物館

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