2011年10月17日
トリーター:鈴木

イイダコ展示の舞台裏 後編(歓喜編)


【前回までのあらすじ】
イイダコの展示を目指し釣行を続ける私と同じ担当の大先輩。4回の釣行が終わり結果は散々。まさかの坊主続き。展示も迫り、謎の宣言で髪の毛も危うくなる。旬の水槽の運命と髪の毛をかけた 5回目、9月イイダコのメッカ某港
の結果はいかに!

結果・・
 
イイダコ 30杯!!
ついにやりました!!

髪・・、いや、旬の水槽がとりあえず秋になれます!

でもまだ安心はできません。
展示の数としては少な過ぎます。
現在 10月、もう夏の展示で引っ張るには厳しくなりました。イイダコへの展示替えの日程が決まります。
そして、釣行のラストチャンスは展示替え前日。
もう不安で、寝ても覚めてもイイダコのことばかり考えていました。
大先輩も同じ担当として不安かと思いきや、逆にこのピンチを楽しみ、絶対釣れるからと変に自信満々です。
理解ができません。流石ベテランは肝が違います。

展示替え前の最後の釣行。どこに行くか検討していると、それに合わせたかのように、以前不調だった某湾が復活したという情報あり。最後は何度も涙を飲んだあの場所をリベンジし、華を添えようではないかということになりました。
既に散々周りにもイイダコを宣伝していたので下手な展示では周りも納得行くわけがありません。
ただ、まだ数が足りません。
これではみなさんに見ていただく前に内部でブーイングになってしまいます。
展示が良くなるも悪くなるもこれにかかったラストチャンスのイイダコ釣り 6回目
今まで運命をともにしていただいた大先輩と二人で釣行です。

結果は・・・

50杯!!!\(^^)/
やりました!!!

長い呪縛から解き放たれたかのようでした。
今までのことを払拭すべくイイダコを釣り上げました。
この日、大先輩は絶好調。
時折漂っていた不信感もなくなり、頼れる大先輩へ。

その日は釣りが終わった後、浜でイイダコが住処にする貝殻を拾い、さらに近くの漁港へ行って漁師さんに要らなくなった漁網やロープを装飾用に分けていただきました。
展示の準備は万端です。

次の日の閉館後、それまでのシロギスを取り上げ、イイダコへ無事展示替え。
数も揃ったし、装飾もしました。でも実際展示したらちゃんと動きが見られるだろうか?
隠れて何も見えなくはないだろうか?
さまざまな不安が過ぎります。
恐る恐る観覧側に回ると、既に何名かの先輩方が水槽を見ていました。そしてこちらに気づき、笑顔で「イイダコいいね!!」といってくれました。
その瞬間涙が出るかと思いました。
諦めないで良かったと心から思いました。

見てみると、いい意味で期待をはるかに裏切りイイダコたちは動く動く。
おのおの、自分のアピールポイントを理解し、狙ってやっているとしか思えないようなかわいらしい行動を見せてくれます。
貝の巣にもしっかりと入っています。
嬉しい瞬間でした。

次の日、解説パネルを整えいざお客さまへお披露目です。
結果は大変好評で、みなさんよーく観察をしてくれていて、笑顔もたくさん見られました。飼育者冥利に尽きる瞬間です。
本当に嬉しかったです。

イイダコは“えのすい”では初展示です。
未知なことばかりでしたが、全く知らなかったイイダコも、今では苦労が全て経験となり、釣り方も含めてだいぶ詳しくなることができました。
全力でぶつかれば必ず何か良い結果が返ってくると改めて学ぶことができました。
これからもみなさまへさまざまな素晴らしい生物の魅力を伝えるべく、全力で頑張っていきたいと思います。

最後に、今回一緒にイイダコ展示をしてくださった尊敬する大先輩へ。
ご指導も含めいろいろと本当にありがとうございました。
これからも頼れる先輩でいてくださいね。

以上これがイイダコ展示の舞台裏です。
長々とありがとうございました!

イイダコ釣りイイダコ釣りイイダコ!イイダコ!

相模湾ゾーン

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