2012年01月17日
トリーター:杉村

大王様の夜間観察。


深海コーナーには、昨年 11月より世界最大級のダンゴムシの仲間「大王様」ことダイオウグソクムシが 6個体追加で仲間入りしております。
陸上で生活しているダンゴムシや磯にいるフナムシなどと同じ等脚目に属している生物で、
メキシコ湾やカリブ海などの水深 800~ 1000mの深海で生活している文字通りの「深海生物」です。

このダイオウグソクムシ、なかなか餌を食べてくれなくて我々飼育係も悩んでおりました。
イワシやアジを入れてみても食べてくれません。
そこで先日、サンマを丸ごと 1本餌としていれてみました。
やっぱり食べてくれません。
いつもは、餌を残しておくと飼育水の悪化を招くのでその日のうちに取り上げてしまうのですが、実験として取り上げずにあえて一晩放置してみました。

・・・次の日の朝。

朝の巡回の時、なんとサンマが頭と骨だけになっているではありませんか!!
とってもきれいな骨と頭だけに!
展示開始から数週間、やっと食べてくれました。
どうやら、夜間消灯後に食べたようです。

そこで、ダイオウグソクムシが餌をどのように食べるのか、夜間の観察を試みました。
定点観察のできる撮影機を置いて、観察してみました。
この撮影機はインターバル撮影(一定の間隔で写真を撮影する)をおこない、それを動画にしてくれる優れモノです(家電量販店でも安価で購入できるものです)。
一晩、約 9時間の観察のスタートです。

さあさあ、どんなふうに食べてくれてるかな?

・・・が、残念ながら翌朝に水槽を確認してみるとサンマはきれいな姿のまま・・・
大王様は食べてくれませんでした。

夜間どんな動きをしているかをパソコンで確認してみると・・・
動く個体とほとんど動かない個体がはっきり分かれていました。
良く動く個体は、もぞもぞ這い回ったり、水槽内を泳いだりしていましたが、数時間おきに休んだり、動いたりを繰り返していました。
動かない個体は 9時間の間、もぞもぞするものの決まった位置から動くことはありませんでした。
深海生物ですのであまり動きが無いことは承知しておりましたが、なかなか面白い観察結果でした。
今回が初めての夜間観察でしたので今後も続けておこない、次回はぜひ「大王様」のお食事風景を捉えたいと思います。

また面白い結果やお食事風景を捉えることができましたら報告したいと思います。
どうぞ、お待ちください。

昼間でも大王様は、稀に泳ぐことがあります。運がよければ、泳いでいる大王様に会えるかもしれませんよ・・・。
“えのすい”に来た際には、1回だけではなく何度か水槽をのぞいてみてくださいね。

※画像は夜間に捕えたダイオウグソクムシが動いている動画を連続キャプチャーしたものです。(動画からの静止画像ですので見にくいです。スミマセン・・・ )

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深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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