2012年02月19日
トリーター:植田

生きた貝を見ていただく


2月はバレンタインデーのある月ですね。それに因んで現在“えのすい”では、「恋が叶う貝殻」展を開催しています。
大きさ、色、形、さまざまな貝殻を集めて来館されたみなさまに見ていただいていますが、この特別展を含め、2月から 3月前半にかけて館内では幾つかの貝にまつわる展示やイベント、それにプログラムが開催されています。

先日私が担当したのはそのうちの一つ、夜のえのすい研究会Vol.26 「よく見る貝、よく食べる貝」で、きょうはその時のお話しをしたいと思います。
このプログラムでは、その題名通り一般の方がよく見る貝やよく食べる貝に焦点を当てて、彼らを観察して身近な貝について新たな発見をしていただいたり、講話を通して特徴を知っていただくのが狙いです。
当日の講話の冒頭でもお話ししましたが、貝-軟体動物の仲間は種類が多く、形や大きさ、生活の仕方や、ヒトとの関係なども様々なので、その切り口は学芸員それぞれにその人なりの切り口があろうかと思います。
私は過去の自分の研究・調査で貝を計ったり、貝殻を割ったりした所業が祟ってか、あまり貝を味わうことを得意としていません。
むしろ特定の貝がよく見ることができるのかそうでないかを調べることに興味を覚えます。
この講話ではそのあたりに絞って、特に江の島周辺の海岸でよく見られる貝にまつわるお話をいたしました。

この日、江の島から来てもらった貝には、タマキビやイボニシといった岩場の巻貝と、マガキ、ムラサキイガイ、ミドリイガイといった付着性の二枚貝がいました。
プログラムの参加者は水生生物や海の環境に興味をお持ちのえのすいプラチナクラブ会員 12名の方で、よく食べる貝を一通り話題にした後、江の島から採集してきた貝の観察へと進みました。
とりあえずは手に取って見たりしていただいた後、用意した水槽に半分ほど海水をはり、そこへそれらの貝を入れてみました。
予想通り、巻貝たちは活発に動き始め、数分もたたないうちにタマキビは水上に這い出し、挙句の果ては水槽のガラス面の外側にまで出てきました。
ミドリイガイも細長い足を舌のように伸ばして動き始め、(自分の体を岩肌などに固定するために使う)足糸をこの足の先に付けてガラス面にくっつける行動も始めました。
講話の中で、生きた貝の水槽展示では、お客さまの目を引くことは難しいと話したのですが、観察できるような数分間の時間的余裕があれば、貝たちが活発に動いたり、付着しようと足糸をほかの物にくっ付けようとするところも見ていただけそうだと思われました。

◎恋が叶う貝殻展

ミドリイガイミドリイガイ

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