2012年03月08日
トリーター:石川

新しき門出


このところ暖かい日があったり、ニュースでは今年の桜前線の話題もちらほら・・・

この時期は卒業のシーズン、うちの息子も小学校卒業で、感慨深いものがあります。
卒業は新しき門出でもあります。“えのすい”でも新天地へ旅立ったペンギンがいます。

当館のペンギンに 1羽だけケープペンギンという種類のペンギンがいました。ペンギンストーリーでは「ジョン」という名で皆さまには親しんでいただいたペンギンです。
お客さまだけではなく、スタッフにもファンが多かったように思います。

このケープペンギンはワシントン条約の付属書Ⅱに記載され、フンボルトペンギンと並んで絶滅の恐れがある種として保護の対象になっている種類です。

「ジョン」が当館へ来たのはまだ旧江の島水族館時代 1997年でした。
アフリカから来たばかりのこの頃は、他のケープペンギン 4羽と一緒に一時的に当館で飼育していただけだったのですが、運命のいたずらか「ジョン」が 1羽だけ残ることとなり、翌年当館の個体として登録されました。
その時ペンギンを担当していたのは紛れもない私でした。

当時は 1種1羽の飼育という現状から、なんとか同じケープペンギンと一緒に生活できるようにいろいろ案が出ていました。
別途ケープペンギンを入れて、ケープペンギンの施設を作ろうとか、いやいや別の水族館や動物園へお婿にいかせるのだとか四苦八苦していた記憶があります。

そうこうしているうちに、私は飼育を離れることとなり、その後新江ノ島水族館のオープンを経て、また「ジョン」と一緒に仕事ができる環境に戻ってきました。
あれからすでに 15年・・・
ずいぶん「ジョン」を待たせてしまいました。
今年 2012年になって、ようやくケープペンギンだけがたくさんいる施設へ行くことが決まりました!

「ジョン」の新天地はこの 3月14日にオープンが決まっている“京都水族館”です。

先日の 3月6日に「ジョン」を連れて京都水族館へ行きました。
場所は蒸気機関車の扇形車庫と転車台で有名な、梅小路蒸気機関車館のある梅小路公園内です。

たくさんのケープペンギンとスタッフに出迎えていただきました。
いろんなところに巣を構えられそうな広い大地、泳ぎの大好きな「ジョン」には深い水深のあるプールも気に入ってもらえることでしょう。
移動直後にもかかわらず、最近“えのすい”では与えていなかったアジを食べたり、なかなか居心地はよさそうでした。

京都水族館へ行くことがあったら、ぜひケープペンギンの「ジョン」を探してみてくださいね。
特徴は・・・
胸から腹にかけて北斗七星の斑点・・・
ホントは九つの斑点なのですが、パッと見ると七つに見えるんです。
柄杓型はちょっとあやしいかな?写真を参照してみてくださいね。

※ケープペンギンやフンボルトペンギンの斑点模様は一生変わらず、私たちの指紋と同じように 1羽1羽違うので、個体識別ができるのです。

早く「ジョン」が素敵なカノジョを見つけられるとよいのですが・・・

“えのすい”ではたくさんの人たちを和ませてくれました。
きっと京都でも人気者になることでしょう。
元気でね“ジョン”!

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ペンギン・アザラシ

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