2013年08月31日
トリーター:唐亀

ヒストリクストリオ

ハリセンボンハリセンボン

入口はいってすぐ左側の区画を通称ジャブジャブ池と呼んでいますが、ここに愛嬌者たちがおります。
ハリセンボン、ネズミフグ、イシガキフグのヤマアラシトリオということで「ヒストリクストリオ」といたしましょう。
(注:ヤマアラシのことをヒストリクスとも呼びます)

大きな目と愛嬌のある顔つきに合わせ、胸びれをゆらゆらはためかせて定位したり、よちよちと泳ぐ姿が大変可愛らしい魚たちです。

ハリセンボンはみなさまもよくご存知だと思いますが、ネズミフグとイシガキフグはいかがでしょうか。
分類学上では三種類ともハリセンボン科で、体表に針棘を持つ無毒のフグです。しかし、ハリセンボンとネズミフグは同じ属なのですがイシガキフグは別の属で、ハリセンボンたちが膨らむと同時に針棘が起き上がる可動式なのに対して、イシガキフグの針棘は短く数も少ない上、可動式ではありません。

ネズミフグは昨年地元の漁師さんから「ハリセンボンがとれたよ」と連絡をいただいて迎えに行ったものの、カゴの中で見事にいじけていて変な体色をしていました。
ハリセンボンではないことはすぐ解ったのですが「イシガキフグ?」という感じで“えのすい”へ。改めてみると針が長く沢山あるところから、ネズミフグと判明しました。以前いろんな所でネズミフグは見たことはありましたが大きなものばかりで小さなものは見たことが無かったのです(今ではかなり大きくなりましたが)。

イシガキフグは最近やってきました。はじめ「ネズミフグ?」と思ったのですが、明らかに針棘が短く、少ないのでイシガキフグと判明したのですが・・・。ネズミフグとイシガキフグは体型も体色もそっくりなのです。知らない方が見たらどっちがどっちか解らないかもしれません。それくらいそっくりなのです。

フグの仲間は個性的なものが多く、個体差も大きいのですが、このトリオも観察していると面白いです。

ハリセンボンは岸辺に立つと寄ってきますが水の中では逃げ回ります。回りの魚を意識し過ぎでおどおどしているのですが、ネズミフグに対しては先輩面で、度々威嚇(ケンカにはならない)することもあります。

ネズミフグは堂々としていて岸辺で呼ぶと寄って来て水面から顔を出して餌を待っています。水の中でも寄って来ておでこを触っても逃げもしませんし、ハリセンボンの威嚇も割りと平然とスル―します。

イシガキフグはまだまだ未知数ですが最近餌を食べ始めました。イカやムキエビなどの白い物がお気に入りのようです。しかし、飄々としていて周りの魚をまったく気にしません。餌を食べ始めてすぐに手からフィンズのエビを食べたそうなので肝は座っていそうです。ハリセンボンもネズミフグもイシガキフグには何もしません。

ハリセンボンは茶褐色で 20㎝位、ネズミフグは 30㎝位あって一番大きいです。ネズミフグっぽくて 20㎝弱ならイシガキフグです。体表の針棘の具合をよく見て下さい。また、ハリセンボンは比較的外を泳ぎ回っていますが、ネズミフグとイシガキフグは奥の穴ぐらにいることが多いので、ヒストリオでご覧になられたらラッキーです。奥の穴ぐらをよーく見ると顔が見切れているかもしれませんよ。

相模湾ゾーン

RSS