2013年12月10日
トリーター:石川

勢力交代

フンボルトペンギン「ノゾミ」フンボルトペンギン「ノゾミ」

繁殖期に入ってから、いろいろな場面でペンギンたちの勢力図が変わってきたようです。
中堅どころの個体ではショーに率先して参加し、給餌の時はいつも先に寄ってきていた面々が少しおとなしくなり、それに代わって若い世代の行動が顕著になってきました。中堅どころのメンバーは「アカリ」、「ヒカル」、「グー」、「チョキ」、「トップ」あたりです。
今回繁殖の中心になっていることもありますが、換羽期あたりから、若い連中・・・「コハク」、「ユメ」、「メロディー」、「フク」、「ノゾミ」などが徐々に力を増してきていて、今までは給餌の時に最後の方に寄らないと先輩たちに小突かれていたのですが、最近では反撃にでてやり返し、逆に先輩より先に食べることもしばしばです。

ただ、若い連中はパワーにまかせているだけなので、ここぞという時は年上の個体が優勢になります。
たとえば新しいトレーニングなどで目新しいものを持って行くと、若い個体はすぐに寄って来なくなったりします。
その点ベテラン勢は、ある程度の状況変化には対応してきます。
少しの変化では動じず、通常通り寄ってきます。
それを見て若い個体は「あ~大丈夫なんだ!」と確認して寄ってきます。

勢力といえば雄たちの勢力図も変わって来ています・・・
とはいっても雄と確定しているは「トップ」だけなのですが、私の見立てでは、「メロディー」と「ノゾミ」は雄だと思っていて、いずれ血液検査をおこなう予定です・・・
それぞれが雌に対してさまざまなアプローチをしているのですが、「トップ」は以前、手当たり次第に雌へアプローチしていて、いろんな雌から嫌われていたのです。
しかし今回はどちらかというと雌からアプローチを受けている状況がよく観察されるので、何か雄としての威厳がそなわったのかな?と期待しています。

残る「メロディー」と「ノゾミ」ですが、今までは雌個体からは小突かれる一方でしたが、最近メロディーは理不尽に突かれた時は応戦してメロディーの主張が通ることが良く見られるようになりました。
ただし、「メロディー」からしかけた時は、五分五分くらいで負かされています。
「メロディー」は雌に対しては、他の 2羽の雄と比べるとやさしいアプローチをしているように見えます。
「ノゾミ」は身体が大きい分どうしても力任せなところがあり、また我を通すので、給餌時は他の雌ともよく突き合いをして、時々首根っこに咬みつかれて情けない声を出している時があります。

この 3羽の雄バランス関係も少し変わって来ていて、以前は「トップ」が縄張りにいると寄りつけなかったのですが、最近は、特に「メロディー」がその縄張りを拡張して“どっちが強いか比べ”をするディスプレイをしています。
ただまだ「メロディー」は自身から向かって行くわけではなく、大好きなおさななじみの「ユメ」に促されている傾向が強く、この段階でまだ「トップ」が優勢であり、本格的な縄張り争いをするにはもう少しかかりそうです。
もちろん闘争してほしいわけではありませんが、徐々に世代交代をしていくことにはなるでしょう。
闘争に加わるとすれば、「ノゾミ」の方が厄介だと思っています。
咬みつかれた経験からですが、今まで咬まれたペンギンでは一番痛いペンギンです。激しい闘争は避けてほしい感じです。

いろいろありますが、若い世代が元気なのは良いことです。
これからの行動にも注目してみてください。

ペンギン・アザラシ

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