2014年01月18日
トリーター:伊藤

じわじわ変身中

黄色いカレイ黄色いカレイ

11月半ばに当館へやってきた黄色いカレイを覚えていますか。
毎日見ていると、しばらく変化に気づかなかったのですが、ふと、来館直後の写真と見比べると、体の茶色い部分がふえています! もうマダラ模様といったほうがよいくらいです。

本魚の正体について、図鑑で検索したり、分類に詳しい研究者に問い合わせしたりして、ババガレイかな、ということになったのですが、確証が持てず、いまだ和名を明記せず展示中です。

仮にババガレイとしましょうか。別名ナメタガレイ。案外深いところまで生息するようで、400mくらいまで記録がある、立派な深海魚です。

魚類の黄変は、ヒドジョウやヒメダカみたいな品種の場合と、自然下で突如生じる場合があります。後者の例としては、琵琶湖の弁天ナマズや、時折、ペットとして輸入される黄変プレコなどがあります。変異の要因ははっきりしませんが、一説には、深い水深や水の濁りで暗い環境で育つことで、色素の発達が妨げられる(明るい場所でしばらく過ごすと色が出てきてしまう)とか、ストレスを受けると色が変化する、といわれます。

本個体は、銚子沖で漁獲されてから水族館へやってくるまでの 3か月ほど、ほとんど餌を受け付けていなかったそうで、たいそう心配しましたが、冷たい海ゾーンの水槽に入れて数日後には、餌付け棒の先っちょからエビを食べるようになり、今では水底にぱらぱらまいてやれば、コブラのように上半身をもたげて、好みの餌をついばんでいます。
そんなわけで、ストレスというよりは、ここ数か月のめまぐるしい環境の変化が、色の変化をもたらしているのかもなあ、と妄想している次第です。

今後、本個体の色がどのように変化していくのか、気長に見守っていきたいです。

[お・も・て・な・し!? 表側(背中側)が黄色い体色の「カレイ科の一種」を展示]

太平洋

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