2014年02月11日
トリーター:杉村

深海生物はどうやって、“えのすい”にやってくる?

底曳網漁の様子底曳網漁の様子

“えのすい”の深海Ⅰには、水深 200~ 1500mまでの深海生物を飼育展示しています。
この深海生物たちは、いったいどんな方法でこの“えのすい”にやってきているのでしょうか?

大きく分けて 4つの方法があります。

1.採集してくる
2.漁師さんに分けてもらう
3.海外などから取り寄せる
4.他の水族館から分けてもらう

この中で“えのすい”の深海コーナーで特に多いのは、「1.採集してくる」です。
採集についてはさらに下の 2つに分けられます。

1.JAMSTECの研究調査航海に参加する
2.漁師さんの漁船に乗船する(主に底曳き網船)

シロウリガイやユノハナガニなどの水深が 1000m以上あるような場所に生息している深海生物は 1週間ほどかけてJAMSTECの調査航海に参加して、ハイパードルフィンなどの探査機を使って研究用に採集された生物を長期飼育実験用(JAMSTECとの共同研究)に分けてもらいます。“えのすい”では、どのような環境で飼育することが長期飼育につながるのかを実験研究しています。

ハシキンメやキホウボウ、時折獲れるメンダコなどの 200~ 400m付近からの深海生物は主に駿河湾でおこなわれている底曳網漁船に乗船させてもらって採集してきます。
この漁は採集に行ける時期が限られていて、11月~ 5月の間です。
お魚屋さんにちょっとグロテスクな深海魚が並ぶ、今のこの時期が最盛期です。
底曳漁は、大きな網を海底に降ろして海底近くを曳くことで、深海生物を漁獲する漁です。
出港は早朝 3時、ほぼ12時間海上で漁をして午後 3時に寄港します。
この半日の間、漁師さんと一緒に船上で採集(漁)をおこないます。
波のゆるい日は非常に快適ですが、荒れた日には・・・とても言葉では表せません・・・。
港に着いた後、帰り支度(採集した生物の処理)をして、駿河湾から 3~ 4時間ほどかけて水族館へ採集した深海生物を運び込みます。
前日からの往復の時間を入れて約 18時間の行程です。
もちろん、揺れる船上ではしっかりと魚の人工呼吸やガス抜き作業などの魚のケアはやっています。

今のこの季節、深海生物の採集にはもってこいの寒さです。
海が荒れやすいのが玉にきずですが、間もなく底曳船に乗る予定があります。
運よく、海に出ることができれば新たな深海生物をみなさんに紹介できるかもしれません。
今後の深海Ⅰに注目です。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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