2014年03月18日
トリーター:石川

春一番、私たち、春二番!!

今年1月に孵化した雛(右)今年1月に孵化した雛(右)

きょうは関東でも春一番ということで強い風が吹きました。
“春一番”というとあの曲を思い浮かべるのでしょうが、私はどうしても“微笑みがえし”のはじめのフレーズが出てきてしまいます。
・・・春一番が掃除したてのサッシの窓に埃の渦を躍らせてます・・・
何となく穏やかなイメージにも取れますが、春一番の由来は 150年以上前の海難事故をもたらした強風からきているのだそうで、穏やかなとはいっていられませんね。
最近は風向きのせいなのか、かつてほどの飛砂の影響を感じないのですが、旧江の島水族館では大量に積もる砂の撤去が開館前の大仕事という日がとても多かった記憶があります。
春というと子どもの頃は何かワクワクするイメージを持っていたのですが、この時期のこの風で花粉症がひどくなる人も多いのではないでしょうか。
いつのころからか憂鬱な時期になってしまった春が残念です。

春に繁殖期を迎える生き物は多くいますが、当館のフンボルトペンギンはさながら春二番とか三番といったところです。
フンボルトペンギンの繁殖期は以前にもお話ししたと思いますが、秋ごろから翌年の梅雨前までです。羽換り(換羽:かんう)時期以外は繁殖できるともいわれています。
1回の産卵で 2~ 3個の卵を産みます。
この後卵を温める期間がおよそ 43日、そこで無事に孵れば雛の育雛(いくすう)に少なくても 80日くらいかかります。
単純にトータルで 120日くらいです。
次の卵が仮にすぐ産卵できたとして、それもうまくふ化して育てられればもう 120日で計 240日、ここに換羽期が加わるとそれ以上の産卵、育雛はムリですので、MAXだと年間 2回( 2クラッチ)が育雛を成功した場合の時です。
しかし、卵がかえらなかったり、破卵したりという事故も起きます。
育雛期に入ってからの不慮の事故ですとすでに、43日はかかっているので、卵の段階でうまくいかないと 3クラッチ目も可能となります。
“えのすい”では無性卵で 3クラッチが見られたことがありますが、大抵は 2クラッチまでです。
今期は早くから産卵が見られたので、すでに 2クラッチ目が終わっているペンギンも多いのです。
この時期ですと換羽期までにもう 1クラッチいける個体も出てきそうです。
なかなか有精卵がないので、ふ化につながらないと意味がないのですが、新たな命に期待したい、そんな“春”です。

ペンギン・アザラシ

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