2014年07月19日
トリーター:杉村

シロウリガイの長期飼育実験 2014 その 3

展示飼育中のシロウリガイ展示飼育中のシロウリガイ

祝!100日達成!!
4月 8日より今年度のシロウリガイの飼育実験を開始して、先日の 7月 17日をもって 100日を超えました。
前回の日誌で「 70日目を迎えました」と報告しましたが、あれからもう 1か月が経ったんですね。
4年連続で 100日を超えての飼育に成功しています。
昨年からこの長期にわたる飼育について、その理由を科学的に検証できないかということを目的にして、JAMSTECの研究者と共同で実験をおこなってきました。
硫化水素の測定をおこなうなどして、水槽の環境がシロウリガイにとってどういうものなのか、解析をおこなってきました。
少しずつですが水槽環境が見えるようになってきました。
とはいっても、まだまだ解析中で何もはっきりとしたことはいえないのですが・・・。
そう簡単には結果が見えないところもまた興味の尽きないところです。

現在は、「深海Ⅰ」化学合成生態系水槽(泥にドッグフードを埋めている)の水槽右端と、中央にある鯨骨の右側の泥の中に数個体が埋まって生きています。
アサリのように水管を出しています。
シロウリガイは、一般によく知られたハマグリに近い仲間の二枚貝です。
貝を開けてみるとハマグリのようにプリプリとした身が・・・あるわけではなく、大きくて長い足と、身ではなくプリプリした 4枚のエラと、真っ赤な血をもつ一風変わった二枚貝です。

過去に研究者に聞いてみてことがあります。
「シロウリガイって食べられますか?」

その答えは・・・
「貝柱は食べられる」とのこと・・・。

とはいっても、貝を開いた後に赤い血が出てきますから実際どんなものでしょうか・・・。
私も解剖実験をしたことありますが、血が赤いのはいやはや何とも。

海底から静かに湧き出る毒ガスの硫化水素を使って、大きなエラの中にいる共生細菌がつくるエネルギーで生きているシロウリガイ。
私たちの目の前に広がる相模湾の深海 1,000mの世界には、こんな不思議なハマグリの仲間がひっそりと生きています。
私はシロウリガイ親善大使(勝手に名乗ってます)として、この真っ白でいつも泥に埋まっている恥ずかしがり屋な「シロウリガイ」の不思議さや謎について、少しでも分かりやすく伝えていけたらと思っています。

9月 9日に、これまでの飼育日数 153日を超え 154日を迎えます。
あとまだ 2か月近くありますが、どうぞ静かに、でも熱く、見守っていてください。

では、また次回。

バックナンバー
2014/ 06/ 17 シロウリガイの長期飼育実験 2014 その 2
2014/ 05/ 13 シロウリガイの長期飼育実験 2014 その 1
2013/ 04/ 13 シロウリガイの長期飼育実験スタート!!

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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