2014年08月13日
トリーター:唐亀

ハゼははねても一代 ウナギはうねっても一代

尾びれを使わない魚たち「ニセカンランハギ」尾びれを使わない魚たち「ニセカンランハギ」

8月も半ばになりまして、夏休みの宿題の進み具合はいかがでしょうか。
先月からテーマ水槽で「夏休み自由研究」のお手伝いとして展示をしています。
今月は「昆虫採集でカメ探し?水辺のカメムシ展」ということで、タガメやアメンボ、臭いにおいを出す陸生カメムシなどを展示しています。
先月は「スイム・スイム・スイム~あなたは何泳ぎ?~」ということでいろいろな泳ぎ方をする生きものを展示していました。
きょうは改めて“えのすい”を見渡して、色々な泳ぎ方をみてみましょう。

スタンダードな尾びれで推進力をつくる魚たち
マイワシやイサキ、ほとんどの魚たちがこの泳ぎ方です。
中には背びれや尻びれ、胸びれを補助に使います。
一寸面白いのはマイワシとカタクチイワシは泳ぎ方が違います。
カタクチイワシは勢いが乗ると、尾びれをたたむ動作をします。

尾びれを使わない魚たち
代わりに使用するひれはどこでしょうか。
胸びれをパタパタさせて飄々と泳ぐのは、ニセカンランハギやヒラニザなどのニザダイの仲間、ニシキベラやコガシラベラなどのベラの仲間がこの泳ぎ方をします。
背びれと尻びれを使うのはフグやカワハギの仲間たち。この仲間は、尾びれを使わないために泳ぐ時に尾びれを畳んでしまうほど使用しません。
ハリセンボンやトラフグでは腹びれと尻びれを同じ方向に倒して推進力をつくりますが、カワハギやムラサメモンガラなどはひれを波打たせ、前進のみならず後ろに進むことも可能になっています。

いろいろな泳ぎ方
泳ぐのは魚だけではありません。深海のオオグソクムシも泳ぎます。
タッチのイソスジエビ、キッズ水槽のノコギリガザミやイシガニも「渡りがに」と呼ばれるようによく泳ぎます。
今ならテーマ水槽にアメンボなどの水生カメムシや、ジャンプ水槽の横の小さな水槽にハイイロゲンゴロウやガムシといった水生昆虫もいます。
多くの場合は泳ぐ為に変化した部分を持っています。
それはどこでしょうか。探してみてください。

ペンギンは飛ぶように水中を泳ぐ
ペンギンのショー「ペンギンストーリー」はペンギンの動きを見てもらうことを主軸としたショーです。
魚を追って飛ぶように泳ぐいきいきとした動きは、陸上でのんびりしている姿からは想像もできませんよ。

アザラシとアシカは泳ぎ方が全然違う
「鰭脚動物」と呼ばれるアザラシとアシカですが、泳ぎ方は全然違います。
アザラシは後ろの足を使いますが、アシカは前足を使って泳ぎます。
特にアザラシが泳ぐ時の後足の使い方はちょっと面白いですよ。

イルカの尾びれは魚と違う
もう御存じのこととは思いますが、魚とイルカの尾びれの向きは違います。
魚は縦についており、左右に振って泳ぎますが、イルカは横についた尾びれを縦に振って泳ぎます。
イルカ(クジラ)のご先祖は陸上を歩いてくらしていた哺乳動物です。恐竜や大型爬虫類が大絶滅した際に、ぽっかり空いた生態系のピース(生態的地位)を埋めるために劇的な進化を遂げた結果ですが、魚と同じ様な体型になりながら尾の付き方は違うのです。
このイルカたちの生態的地位にいたイクチオサウルスなどの魚竜はイルカそっくりですが、尾びれは縦についていました。
この魚竜もまた、かつては陸上を歩いていたトカゲのような爬虫類でした。
どうして後から魚的な生活をおこなうために適応進化したのに、このような現象が起こったのでしょう。
ヒントはヘビやトカゲが泳ぐ時の姿。または恐竜と爬虫類との足の付き方。あなたの体の動きなどです。
因みに魚竜は左右に尾を振るため後足が残っていましたが、イルカの後足は無くなっています。これもヒントになるかもしれません。

さあ、これを模造紙 2枚くらいにイラスト入りで仕上げればカンペキ。

かもしれません。

テーマ水槽

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