2015年02月21日
トリーター:杉村

只今研究中!!相模湾のハオリムシ

“えのすい”は、一般的な深海生物とは違う特殊な深海生物の化学合成生態系生物(メタンや硫化水素などの毒ガスをエネルギー源にしている生物たち)の飼育法の研究開発を独立行政法人海洋研究開発機構(以下JAMSTEC)と共同で研究をしています。

深海Ⅰでは特殊な化学合成生態系生物をどのような装置を使用して飼育しているかを紹介しています。(深海Ⅰの大水槽の横です)
そこでは、今まさに相模湾で採集されたサツマハオリムシの 1種(仮名:サガミハオリムシ:正式な名前がまだありません)飼育研究のようすを公開しています。
彼らは、口や消化管がなくお尻もないため、何も食べません。
海底から湧き出る硫化水素を吸収して、体内に共生しているバクテリアがエネルギーを造りだして生きている多毛類(ゴカイ類)の仲間です。

この相模湾のハオリムシは未だに飼育法が確立されておらず、飼育例も少ない生物です。
そのため、飼育水槽にはいろいろな装置が○○ダムのフルアーマーのごとく付いていて常に環境データを収集しています。
水温を 4℃に保つために冷水発生器、硫化水素の元となる薬剤の添加装置、水槽内の水素イオン指数(pH)測定器、溶存酸素濃度(DO)測定器、濾過循環装置などなど。
特殊な深海生物を飼育するのはなかなか大変です。

生息環境で測定されたデータをもとに試行錯誤中です。
ちなみに現在飼育中のサガミハオリムシ(仮名)は、昨年長期に飼育したシロウリガイと同じ海域から採集され、2月 21日現在、319日間飼育をしています。
観察していると、時々茶色の筒(棲管)から白い蓋と赤くきれいな鰓をヒョコッと出していることがあります。


サツマハオリムシの 1種

今後観察と飼育を続けることで、これからいろいろなことが分かってくると思います。
そのためには、サガミハオリムシ(仮名)にとってどの環境がベストなのか、突き止めたいと思います。
新たな生物の研究にちょっと興奮している私です。

“えのすい”の深海生物研究はまだまだ続きます。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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