2015年03月19日
トリーター:植田

大好きな展示復活!

ムギイワシムギイワシ

飼育担当職員としては、一部の生物や展示に選り好みのあることは、多様な生物の紹介・展示をおこなうことが本分であるとすると、失格なのかもしれません。
しかし、なぜか惹かれる生物、展示があるものです。

私がこよなく慕っているのは、波が砕け散るさまを再現した出会いの海のムギイワシのいる風景です。
荒波打ち寄せる岩肌のすぐそば、波が砕け散る際に沸き立つ真っ白な気泡が混じる乱流の中で、流れに巻き込まれまいと一生懸命に群れ泳ぐムギイワシの姿には、なぜか強く共鳴するものがあります。
図鑑によると、ムギイワシはイワシと名前には付きますが、マイワシやカタクチイワシとは全く別物で、マイワシなどはニシンと近縁のニシン目に属しているのに対して、ムギイワシはトウゴロウイワシ目に属しています。
おとなになっても体長が 7cmほどで、太平洋岸では千葉県小湊あたりから南側、日本海岸では新潟県佐渡島から南側の日本沿岸の岩場にみられるようです。
夏場に海岸周辺で産卵するとのことですが、私が磯場に行って観察するところでは、12月から 2月頃の大潮の夜に膝から腰までつかる程度の浅場に大挙して群れているのをよく見ました。

ムギイワシを展示している「出会いの海」水槽は、展示側から見ると水面が床から1mの位置にあります。
ムギイワシは水面のすぐ下側に群れる傾向がありますので、大人が普通に立った姿勢で水槽を眺めていては、ムギイワシを見過ごす恐れがあります。
できましたら、「出会いの海」の前で、視線を水面付近が見通せるようにちょっと姿勢を変えてみると、健気に群れ泳ぐムギイワシの様を見ていただくことができます。

相模湾ゾーン

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