2015年04月21日
トリーター:北嶋

コブダイ復活

コブダイコブダイ

岩礁水槽(アラメやカジメの海藻水槽)にいたコブダイのこと、知っていますか。
岩礁水槽のなかで一番大きな魚で、体長 50~ 60cmほどはあるでしょうか。
このコブダイ、水槽の上から覗くと、水面まで上がってきて餌をねだって手から直接餌を食べたり、水槽の中をなわばりとしているのか、掃除に潜るとこちらのようすを見に来たり、時には噛みついてくることもありました。
岩礁水槽のボスのような存在で、いつも気にかけてかわいがっていました。
そんなコブダイなのですが、昨年の 7月 14日、突然姿が見えなくなったのです。

水槽の前から見てもいない。
潜って岩の隙間の奥の奥まで探してもいない。
だれかがすくい上げたわけでもない。

どこいっちゃったの???

最悪の事態も想像しました。
数日探し回った末、どうにか見つけることができました。
擬岩の裏に隠れていたのです。
正面からみると水槽の中は大きな擬岩が左右に設置されているのがわかります。あの擬岩は中が空洞になっていて、ところどころ穴があり小さな魚は出入りをすることができる造りになっています。
どうやら中に入ったのはいいものの、出られなくなってしまったのか、出たくなくなってしまったようです。
裏は真っ暗なので、懐中電灯で照らして中を覗いてみると、こちらに気付いて陰からこちらを見ています。
餌をあげると食べにも来ます。
元気は元気です。
しかし、展示の方にでてほしい。困りました。

コブダイ取り出し作戦その 1
「餌で誘って網ですくう」
網の気配か私の殺気のせいか、失敗。

コブダイ取り出し作戦その 2
「潜って捕獲」
せまーい擬岩の裏を決死の覚悟で水中ライト片手に、網を片手に潜りました。
擬岩が入り組みすぎて手の届かない隙間に逃げ隠れられて、失敗。

コブダイ取り出し作戦その 3
「自作トラップで捕獲」
自作で大きなコブダイでも入れるような大きなビンドウ、「コブダイホイホイ」を作成して仕掛けました。
これが駄目だったらもう最終手段にでるしかない!祈るような気持ちで何度かチャレンジしたものの、警戒してか、入ってくれず失敗。

コブダイ取り出し作戦その 4
「これが最終手段だ!釣る」
じょうずに釣れれば網ですくうよりも魚体を傷付けないで済む方法ですが、余りに大きいため、暴れたらどうしよう、とか、針を飲んじゃったらどうしよう、とか心配ごとの多い方法のため、最終手段としてとっておいた作戦です。

釣りのベテラン上司の協力のもと、仕掛けなど準備を進めていました。
今月中に実行だ!
と思っていたのですが、今朝、コブダイが岩礁水槽(展示側)を悠々と泳いでいます。
あれ?!!出られたの?!
あっけない結末です。
まあ、怪我なく出てこられて良かった。
もう裏側には行けないように穴をしっかりふさぎました。たぶん、これでもうあんなことはない、はず、です。

「なんだよ、キミ~」と、水槽の上から覗きこむと、何事もなかったかのように餌くれとやってきました。図太いやつです。
みなさんからも岩礁水槽の問題児に、もうトリーターを困らせるな、とひとこといってやってください。

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